今更ながら読書感想文をうpしてみる
日中韓はひとつになれない 角川oneテーマ
小倉紀蔵
買う気になったのは嫌韓流スレで小倉氏を紹介され、本棚スレで性善説の捕ら
え方について引っかかったから。小倉氏の本を買うは多分これが初めてです。
突っ込みどころが多すぎるが、ハングル板向けに出来るだけ絞り込んで書いて
みる。二重括弧『』でくくってない部分は引用ではなく私の主観による感想と
か要約と考えてくださいな。
この本の結論は題名通り。それなのに「東アジア共異体」を提唱する。
前書きで東アジアの範囲を書いているが、なぜか本の題名に無いヴェトナムを
入れている。
さらに、小倉氏がヴェトナムについてほとんど触れていないのはどういうこと
か?
私なりにヴェトナムを入れた理由を見つけたので後のほうに書いておいた。
この本の一番の特徴は「東アジア共異体」の提唱だと思うが、なぜ必要なの
かまともな説明が無い。
政治、経済だけでなく哲学的、思想的な摺り合せという下地が必要と書き、
なんども欧州を引き合いに出すが、EUが政治経済抜きに出来た訳で無い以上、
政治経済を抜きに語るのはおかしい。
ただし「東アジア共異体」は実現困難だろうとも何度も言っている。
一応、小倉氏は学者であることを自認しているらしく、細かい点ではまとも
なことも言っている。例えば今の左翼やかつての大東亜共栄圏を唱えるような
人たち(後者は私の補足)がアジアというものを理解せず、一方的な思い込み
で利用しているとか、東アジアを儒教という共通項でくくるのは危ないとか。
とはいえ前書き部分での「性善説」の説明、特に日本と特定アジアでの捕ら
えられ方の違いを上手く説明できていないとか、本の中に書いてある『韓流フ
ァンと話していて気づくのは、彼女たちの歴史認識には産経新聞的なものが以
外が多い』(P123-P124:ただし、P126など場所によっては韓流ファンではなく
ペ・ヨンジュンファンとも書いている)を『誤解』された経験とか、文章で説
明する力が足りないと私は感じた。
「性善説」に関しては最初のほうで充分に説明してあるが、前書きのように
「強い弱い」で表現するような差ではなく、日本とその他の国では意味が全く
逆と言ったほうが正確な捉え方だと思うし、そういう認識の差異があると前書
きで書き、認識の違いを認識することこそが相互理解に繋がるとするなら有用
な本となっただろう。
この本の悪い点をもう少し具体的に書いていく。
例えば、「性善説」。この言葉は原典を辿れば小倉氏の説明で良いのだろう。
西欧的手法では解決できないと結論を出すため、「性善説」を東アジアの特異
性として出したようだが、自分達は「善」であり他は「不善」であるという考
えは東アジア限定だろうか?正義、悪という言葉に言い換えてもいいがそんな
考え方はいくらでもある。欧米の「自由」や「人権」という「普遍的正義」の
押し付けがましさ、一神教でよく見られる原理主義、それらと「性善説」と何
が違うのだろうか?
「韓流ファン」と「ペ・ヨンジュンファン」を区別し、後者の政治的姿勢を
問題視する。そこは間違っていないと思うが、それなら上で触れた「産経新聞
的」に反応する理由まで切り込んでいいはずだ。産経新聞を読まない人にその
傾向が分かるだろうか?批判的な人がわざわざ産経新聞を購読するだろうか?
産経新聞は他の新聞と比べてシェアは高くないのにこの疑問が湧かないのは明
らかにおかしい。
「冬のソナタ」を梃子に己の立場を強化したい連中を分析してないのは、
怠慢としか言いようが無い。
ごめん、怠慢は間違いだ。意図を持って行っていると考えたほうがいいのは、
確定的に明らか。
『「東アジア共異体」の中心に韓国』(P176-182)がなるべきとページを裂き
ながら韓国が変わらなければならない点、つまり今持っている欠点の克服方法
を提示出来てない。
他の章でも韓国の利点を「ダイナミック」であることと指摘しているが、目先
の利益を性急に求め、飽きやすいだけ。自分の自尊心を満たすためには他人を
嬉々として貶める。後者に関しては女優を自殺に追い込んだと言える具体例ま
で小倉氏は書いている。(P69)
こんな行動様式が「東アジア共異体」の中心にふさわしいとでも思っているの
だろうか?
中心となれば『充分に反省的な大人の立場』(P182)に改善するなどというのは、
お花畑だ。韓国の大統領になった盧武鉉はどうだったんだ?
確かに国連の事務総長が韓国から出た。それは大国や先進国と発展途上国の
綱引きや地域的な綱引きの結果によって、アジアで先進国と発展途上国の境目
にいる韓国が選ばれただけだと私は解釈する。決して尊敬されているからでは
ないはずだ。尊敬されているならPKOに積極的に参加している北欧とかカナダ
あたりがなってもいいはずだ。(※尊敬に関しては、私の主観でしかない)
韓国を改善せず「東アジア」の中心に据えるにはどうすればいいか。
それには「綱引き」を使えばよい。ヴェトナムは韓国より発展途上で地理的に
も南にある。日本や中国と綱引きさせるためだけにヴェトナムを加えたのだ、
と気が付いた。結果から導き出したゲリマンダーだな。
事実、小倉氏は『ヴェトナムを中心にすれば「東アジア」の重心があまりも
南に移動してしまう』(P179)と書いている。
学者としての良心を微塵も感じないとは言わないが、結論の為に恣意的な選
択をしているところを見ると学問よりも政治的意図を優先していると言っても
言い過ぎではないと私は思う。
万が一この文を小倉氏が読んだときに備えて勝利宣言しておく。
もう勝利ついているから。ヴェトナムについて充分書いてないのは、小倉氏
だからな。
>>378 >彼女たちの歴史認識には産経新聞的なものが以外が多い
ええと、意味が分かりません。
「意外に多い」nika?
>>381-382 typo許して。正確には
『彼女たちの歴史認識には産経新聞的なものが意外に多い』