[やばいぞ日本]失われる「判断・思考の力」
(前略)
本多氏は1984年8月に韓国ソウル市で学生を対象に開催された日韓合同の
数理科学セミナーを思いだす。4年後にオリンピックを控えた当時の韓国には、
近代化を目指す活気が満ちていた。しかし、乗用車の性能ひとつをとっても、
日本との産業・科学技術力には、大きな差があった。
この合同セミナー開催にあたった日本側は広中教育研究所。当時、米ハーバード大と
京都大の教授であった広中平祐氏が主宰する民間組織だった。韓国側は明知大学校で
日韓合わせて61人の高校生から大学院生までが集まり、数学やコンピューターなど
数理科学の勉強に取り組んだ。
「このとき、日本と韓国の高校生や大学生の間に歴然とした差が表れたのです」
当時、東大の大学院生であった本多氏は、セミナーの運営を手伝うスタッフとして
参加していたこともあり、より客観的に見ることができた。驚いたのは、知識や
学力の差ではない。数学や物理の力では日本側が圧倒的に上だった。英語力も韓国側が
後れをとっていた。しかし、学生として最も基本的な部分の判断力や、ものを
考える力で、日本の参加者が劣っていたのだ。
(中略)
自分の頭で考えない。言われたことしかできない。自己本位。確認の甘さ。
希薄な責任感…。基本的な部分であまりにも差があった。「自分を含めて、
この世代が社会の中核になる20年後、日本と韓国の力は逆転するのではないかと
感じました」
本多氏はソウルの夏を振り返る。明知大学校の教授は「このセミナーで自信を
与えられた」と言ったそうである。それから23年−。日本の停滞傾向は予兆から
現実へと変わった。日本での理科離れは、加速して止まらない。
(後略)
*+*+ 産経ニュース 2007/11/10[03:45] +*+*