“キリスト教一家”使命感あだに 殺害の韓国人牧師
http://www.sankei.co.jp/kokusai/korea/070726/kra070726002.htm 【ソウル=黒田勝弘】アフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンにより殺害された教会
派遣の韓国人奉仕団の引率者、ぺ・ヒョンギュ牧師(42)は、父や夫人も篤実なキリスト教徒
という“キリスト教一家”で、人望の厚い若手の伝道者として知られた。拉致された23人のうち、
なぜぺ牧師がまず殺害されたのか背景は不明だが、一行の中では唯一の牧師だった。伝道
者として危険地域での困難や危険をかえりみない“使命感”が、結果的に犠牲につながった
ようだ。
ペ牧師は済州道出身でソウルの大学を卒業、会社勤めの後、神学大学に入り牧師になった。
1998年、同僚の牧師とソウル近郊の新興住宅都市・盆唐に「センムル(泉の水)教会」を創立
し、青年部の指導者として海外を含め布教・奉仕活動にあたってきた。
済州道在住の父(72)は地元教会の長老(信徒代表)で、夫人も奉仕活動などで夫を積極的
に支え、白血病患者に骨髄を提供するなど献身的だったという。ペ牧師はもともと丈夫では
なかったため、拉致・抑留中に健康が悪化し、足手まといになって殺害されたのではないか
との観測も流れている。
殺害された25日はたまたまペ牧師の42歳の誕生日にあたり、教会関係者をはじめ世論は
その死を強く悼んでいる。
今回、アフガンに医療活動などで青年男女23人の奉仕団を送り出したペ牧師の「センムル
教会」は、信徒数が約4000人で市街地の5階建てビルを教会に、海外奉仕をはじめ活発な
布教活動で知られる。北朝鮮に対する人道支援にも積極的だったという。
韓国政府は事件発生後、外国メディアに対し今回の奉仕団がキリスト教関係であることに
できるだけ触れないよう要請している。イスラム教の武装勢力を刺激したくないとの配慮から
だが、危険地域での大胆な奉仕活動にペ牧師のような宗教的使命感があったことは否定
できない。