★  日本こそ   地上の楽園   ★15

このエントリーをはてなブックマークに追加
253地球の裏側 ◆/lYVcP7um2
それじゃちょっと長いけど投下しますね。

マグロ資源減少の真犯人

昨今、マグロ資源の減少が大きく取りざたされているが、その中で、資源減少
の主犯を、マグロ輸入量世界一の日本とする論調が目立つ。

2002年統計で、全世界のマグロ漁獲総量は225万トンとされているが、このうち
約65万トンを日本が消費している。およそ世界漁獲総量の1/3を日本一国で消費
している事になるのだが、実は日本でのマグロ消費はその9割が刺身向けである。
では、残る160万トンは何に使われているのか?それは日本では1割程度でしかな
い、缶詰向けにそのほとんどが消費されている。

マグロの缶詰は、60年代後半に、日本では市場価値の低い、ビンナガマグロを
油漬けにしたものが、その嚆矢だと思われる。これは米国に輸出され、シーチキン
の名で大成功を収めた。これに目をつけたのが、スペイン、ポルトガルの漁業
資本だった。日本ではビンナガマグロ漁獲は、延縄漁または一本釣りが主であった
が、生食をしないため、魚の鮮度、品質に対する要求が日本より低い欧米では、
巻き網漁で漁獲したものでも、市場価格に差がないため、古くから巻き網での
漁獲が主となっていた。この巻き網を用いて、缶詰工場へ直接水揚げする形での
マグロ漁業は、缶詰が欧州市場に一般化するにつれ、その量を拡大して行く。
254地球の裏側 ◆/lYVcP7um2 :2007/05/03(木) 01:48:54 ID:GlcHOtkG
>>253続き

しかし、狭い大西洋での大量漁獲は、すぐに影響が表れ、漁獲量の減少となって
顕在化する。結局、これは東部大西洋、地中海での漁獲規制を生む事になり、
巻き網漁船はその漁労海域を移さざるを得なくなった。イベリア半島での巻き網
魚業の特徴は、缶詰生産会社が直接自社所有の漁船で操業し、漁獲物は一般市場
を介さず、直接、工場へ水揚げする形である。東大西洋での規制が強くなった事
で、彼らはこのシステムを南米やアフリカ西岸などに持ち込み、現地で缶詰を
生産、缶詰を欧米市場に輸出する形で拡大した。

彼らの漁獲量は一般市場を通らないため、正確に知る事はできない。また、生産
工程での歩留まりも公表されていないため、缶詰生産量からの推測も難しい。
つまり、缶詰工場直結型の巻き網漁業での水揚げ量は、統計的に把握できていな
いのが現状だ。また、その漁法にも大きな問題がある。巻き網漁では、魚体の
サイズを規定出来ない。小型から大型まで一網打尽に巻いてしまう。時には数百
トンといった量を一度に巻いてしまい、船内処理(水揚げ、冷凍)が間に合わず、
100トン、200トンといった量を、網の中で腐らせてしまう事もある。また魚体の
大きさにより、乗り組み員歩合が異なるため、大型を巻いた場合、それまでに
漁獲していた小型の魚体の魚を海上で廃棄して、大型を残すような事も頻繁に
行われている。

彼らの船は初期から大型であり、最近はさらに大型化が進んでいる。2000年建造
の「アルバコア」という船(パナマ船籍)に至っては、5000総トンなどという、
一時期のトロール漁船を彷彿とさせる大きさの船が出現している。そして、これら
の船の大半が、未組織船として漁労に従事しており、主にその旗国水域での操業で
あるため、国際的監視に非常にかかりにくい形態になっている。
255地球の裏側 ◆/lYVcP7um2 :2007/05/03(木) 01:49:24 ID:GlcHOtkG
>>254続き

これらに引き換え、日本のマグロ消費は、その消費形態ゆえ、非常に正確な統計が
可能であり、日本以外で消費されるマグロと比較して、数字の正確さに大きな開き
があるのが実際だ。また、その漁獲法も日本の消費形態を満足させるには、非常に
限られた漁法しか許されない特殊性を持つ。延縄漁法における、投縄ー上げ縄一回
での漁獲量は、最盛期でも10トンに満たず、現在では、平均2トン程度となってい
る。(20尾前後)巻き網漁法とはまったく比較にならない。

結論してしまえば、マグロ資源における対日批判は、まったくの的外れであり、冤罪
とでも呼べるものであることだ。日本でのマグロ輸入、水揚げのほぼ100%が統計上
捕捉されているにも関わらず、そのシェアの分母となる、世界マグロ総生産量は、
実際値の50%以下かもしれないからだ。また、魚体のサイズも、まったく把握されて
いない巻き網漁に対し、日本ではその市場価値から、一定以下のサイズでは採算に
乗らないため、極力漁獲しない努力がなされている(釣り鈎のサイズなど)日本市場
に流通するマグロは、その資源保護の観点からしても、巻き網漁業よりはるかに、
インパクトは小さい。

上記巻き網漁業は、過去の事例でも、伝聞でもなく、実際に今現在行われている事実
である。当地まで足を運ぶだけの手間を厭わなければ、いくらでも取材可能な現実の
出来事である。しかるに、1999年から8年間、船舶電子装置技術者として頻繁にこれら
巻き網漁船へ乗船の機会があるが、公的調査が実施された事実は寡聞にして知らない。
これら、巻き網漁業の実態が周知された時、マグロ資源における日本非難はどこへ行く
のか、どう結末づけるのか、これから楽しみである。

最後に、韓国、台湾、中国は、事、マグロ資源に関して、日本を非難できる立場に無い。
バヌアツ、マーシャルなどに置かれた便宜置籍船について指摘すれば事足りる。
これらついては下記URLから辿ってもらえば、すぐに判る。
http://www.oprt.or.jp/top.html