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真っ青な顔をして聞くアサヒちゃんに、ノルウェー君は少ししょんぼりして答えました。
「裁かれたよ。ルールも約束も無かったんだけどさ」
凍ってしまったアサヒちゃん。そこにアメリー君が通りかかりました。
「気にすること無いぜノルウェー、非常時だったら止むを得ないさ」
「そう、僕もそう思うことにしてるけどね」
「重要なのは、お前の家族が侵入者に踏みにじられ、苦しんだということの方だろ。
しかも、身内に敵を手引きする奴さえいなければ、
悲劇は避けられた可能性が高かったってことを忘れちゃいけない」
おや、アメリー君の声を聞いてアサヒちゃんは復活したようです。
「ひどい!たとえ何があったとしても、それを禁じたルールは無かったんでしょ!
なのに罰するなんて罰と言う名の復讐だわ!
そんな裁きを下した人は裁かれる側の人間と同じ、
いえ、それ以上の罪を犯したことになるのよ!」
まるで人を嫌うのが元気の源の様なアサヒちゃん。
ノルウェー君も伏し目がちに言いました。
「アメリー、正直僕にとっても口にしたくない事なんだ」
「おい何言ってんだよ。裁いて良かったに決まってるぜ。
俺の家なんか、その大喧嘩でゲルマッハやアサヒの家を倒した時、
何の取り決めも無く無制限に裁いてやったぜ。
今でもその家にアレでよかったって言ってくれる奴がいるくらいさ」
「馬鹿な!僕の家は自分達家族だけでやったんだ。
敵からそんなことされるなんて話が違う。それを喜ぶ奴なんているわけ無いだろ!」
「それは本人に聞いてみれば?」
アメリー君が振り向くと、アサヒちゃんは姿を消しています。
「あれ?アサヒの奴は何処行った?」
ノルウェー君は小さな溜め息をもらしました。
「アメリー、そういうでっち上げばかり口にするのは止めろよ。それだから君は・・・」
「本当だよノルウェー!そっちこそ結論を急ぎ過ぎてないか?」
おしまい