爺さんの体験談代筆スレッド

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84710編目でしたorz791 ◆9zatwGbxuw
 泥棒コント

 我々が作った山奥の半地下収容所でも真冬になると寒い、ペーチカが欲しい、ドラム罐
が欲しい、レンガが欲しいとソ連兵に訴えた。するとソ連兵は「自分達の事は自分達で作
れ、ドラム罐が欲しければ町へ行ってかっぱらって来い」と言う。「そんな事をしたら見
つかってしまうではないか」と言えば「要領良く盗んで来れば良いさ」と其の要領を教え
てくれた。町のドラム罐を盗む為に、日曜日二十人が選ばれ、十人づつ二組に分れ、一組
は町の手前の林の中へ潜む、もう一組の人達は真昼間手当りしだい空のドラム罐を持って
来る。後からソ連人が「何処へ運ぶのだ」と追いかけて来たら「それは知らない、私達は
あそこからここへ持って来いと言われたから持って来た迄だ」と言ってドラム罐を投げて
帰って来る。追いかけて来た町のソ連人は仕方が無く町へ帰るだろう。それが見えなく
なったら、潜んで居たもう一組の十人が又其のドラム罐を持って来る。見つかれば又其所
へ置いて来て次の人が持って来る。そして収容所内にはドラム罐ペーチカが出来、喜びに
火照った顔が並び、のんきな泥棒のおかげを感謝し合った。

 「ほだの火に 照り合ふ戦友 笑顔見る」  箏葺