636 :
処女作?:
『世界一の美酒』
今日は蹴球町内一を決める決勝戦。町内の目がすべて集まる日でもあります。
対戦するのは、フランソワーズちゃんとマカロニーノ君。どちらが勝ってもおかしくないゲームです。
国歌静聴など、いつもの儀式が終わりゲームが開始されたのですが、ちょっと様子が変です。
いつも陽気なマカロニーノ君が、何か小声で囁き。フランソワーズちゃんが顔を真っ赤にしています。
それでもゲームは1ターン、2ターンと順調に進み。延長の3ターンまできました。
「もう…勘弁なりませんわっ!」
いきなりフランソワーズちゃんが立ち上がり、マカロニーノ君に近寄ったかと思うと、電光石火の頭突きをかましてしまいました。
鼻頭に見事に決まった頭突きにより、マカロニーノ君は鼻血ブー状態です。
「何をしてる、フランソワーズ!」審判をしていたアーリアちゃんが、羽交い絞めにします。
それでも、まだ足りないのか。足をばたつかせ「もう、もう……この下郎がっ!」と、怒り心頭状態でさらに暴行を加えようとしています。
「あ、あの男。あろうことか、私の母を、姉を……口が裂けても言えないことを!」
つっかえながらもそれだけを何とか言うと、衆目も忘れ、わぁっと泣き崩れてしまいました。
しかし、ルールはルール。暴力など許されるはずがありません。
ゲームはフランソワーズちゃんの反則負けとなってしまいました。
「最低だな、お前は」
表彰式、強者の証であるトロフィー授与の際、開催者であるゲルマッハ君が、ぽつりとつぶやきましたが。
「まぁ、女性に使う言葉ではなかったけどね」
マカロニーノ君は前髪を払い。
「それでも、世界一の美酒の前では、どんな美女も見えなくなるのさ」
と、トロフィーを天高く掲げました。