連続ドラマ小説「ニホンちゃん」31クール目

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540黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE
   「 ヒーローと共に戦え 」
私の家には、昔から話し合いを重んずる伝統がある。
だが、不幸にして我が隣人達はそうではなかった。
そんな隣人達が露骨に我が家を狙い始めた。
我が家の意見の不一致と反応の鈍さに付け込み、家を乗っ取ろうと画策し始めた。
こんな時は、家族は心を一つにして立ち向かわないといけない。
ところがわがままな奴はいるもので、大事な話し合いでも散々迷惑をかけ、
我儘が通らないと見るや他所者の甘言に乗せられて、
それら他所者が我が家に押し入る手引きをする者が出てきた。
何故そんなことをする!自分さえ良ければいいのか!
結局、私の家は隣人達の支配下になってしまった。

そんな我が家にもチャンスが訪れる。
ヒーローがやってくる。抑圧された人々を解放するために戦っているそうだ。
我が家は誰よりも苦しんできた。でもヒーローが来てくれればもう安心だ。
私はヒーローに忠誠を誓い、必死に戦った。
ヒーローはそんな私を絶賛した。そして我が家の一部を取り戻してくれた。
だが正直、取り戻してくれた土地は私の望みより遥かに小さなものだった。
しかし共に戦えばいつか全てが取り戻せるというのなら、私はいくらでも頑張るぞ。
ヒーローは私に任地を与えた。ウチから遠く離れたところだ。
私はどんな困難でも怯まなかった。困難の向こうに明日の我が家を見ていたからだ。

しかし疑問を拭えない時もある。ヒーローが倒した家の怪我人を見た時だ。
この人たちにとってはヒーローが抑圧者なのか。
ヒーローも縄張り争いをする、ただの人なのか。
私の家族は、今ここにいる私をどう思うだろうか。
いや、気の毒ではあるが、倒された家に問題があったからだ。
その人達は今は分かってくれないかもしれないが。