連続ドラマ小説「ニホンちゃん」28クール目

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 チューゴ君か、モンゴル君の家の昔話に出てくるような甲冑に夕日を受けて、
 自らも不思議な光を放つその人は、ニホンちゃんに向かって突進してきました。
 あまりのことに声も出ないニホンちゃん。騎馬武者はもうすぐそこに迫ってきました。
 騎馬武者は荒ぶる馬を鎮めると、身を翻して馬を下り、こちらに近付いて来ました。
 その顔には、雄々しさと、優しさと、そして感謝の色が浮かんでいました。
 何故か、ニホンちゃんには恐怖心は浮かんできませんでした。
 不思議と懐かしさが浮かんでくるのを感じました。
(この人、私を知ってるの?私もこの人に会ったことが?)
 その人はニホンちゃんに歩み寄り、そして優しく抱きしめて、耳元で言いました。
「今日は嬉しかったよ、ニホンちゃん。その気持ち、いつまでも忘れないでね」
 そう言って少し体を離すと、脇に目をやりました。
 そこには、大皿に山盛りの焼き餃子が湯気を立てているではありませんか。
「ほら、たくさん召し上がれ」
「わあ、おいしそう―――――」

「――――はっ」
 ニホンちゃんは目を覚ましました。周りには誰もいません。
 どうやら夕暮れの縁側でうたた寝していたようです。
「夢?なんかリアルな夢だったなあ。でもあの人って、一体?」
 そこへニホンちゃんを呼ぶ、お母さんの声がしました。
「さくらー、晩ごはんできたわよー!あなたの好きな餃子がたっぷり出来たからねー」
「え!餃子?!」
 夕空高く、一番星がいつもよりも強く輝いていました。

  おしまい