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( ははーん、こいつ自分でも知らないんだ )
全員がそれを察して冷たい沈黙が。ニホンちゃんは気まずそうに言いました。
「ねえ、チューゴ君、古い物の名前って意味があると思うの。
作った人の気持ちがこもっているんじゃないかな?だからわたしは変えたくないのよ。
餃子を作った人たちのために」
そこへフラメンコ先生がやって来ました。
「その通りよ、チューゴ君。簡単に名前を変えると後になって後悔するわよ。
それにチューゴ君の家で無くなったものが、ニホンちゃんの家に残っていて、
助かったことも沢山あるでしょ」
「先生、何故そういうことを堂々人前で口にするアルか!
大体ニホンの一家は物覚えが良すぎアルヨ!」
トル子ちゃんすかさず突っ込みます。
「あら、いつも言ってることと反対ね。物覚えのいいこと」
「もういいアル!朕は向こうでゴーティエ食べるアル!」
「ニホンちゃん、私達は一緒にマントゥ食べましょ。アメリー君もどう?」
「お、嬉しいなあ。朝ごはんを少なめにしてきてよかったよ」
両手に花のアメリー君と両脇の2人を、チューゴ君は無言で睨み付けました。
(あの顔ぶれ、気に入らないアル!今日は宗主国としてモテモテの予定だったアルに!)
そんなチューゴ君にも優しいフォローの手が。
「チューゴ君、仲良くマンドゥを食べようじゃないニカ。伝統ある家同士」
「うるさいアル!」
―――その日の夕方―――
ニホンちゃんは縁側で、夕焼け空を見上げて学校でのことを思い出していました。
「みんなで楽しく餃子を食べる日だと思っていたのになあ」
そんなことを考えて、空を見上げていると
星が一つ、強く輝いているのが目に留まりました。おや?動いています。
飛行機?いえ、違います。その光は見る見る大きくなって、
こちらに向かって来るではありませんか!
なんと、それは天空を駆ける一騎の騎馬武者です!