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そう言ってカンコ君の口に小麦粉の固まりを押し込むと、
チューゴ君は話に参加していなかったニホンちゃんに目をやりました。
「ニホン!ニホンならわかるアルな?我がチューゴ家の歴史が!
ゴーティエが正しいアルな?」
しかし、トル子ちゃんが話をさえぎりました。
「日之本家が他所の物を受け入れてやったってことね。
ニッテイさんがアジア町をシメていた頃に」
「トル子ちゃんてば!」
ニホンちゃんがびっくりしていると、意外にもアメリー君が話しに加わりました。
「気にするなよニホンちゃん。栄えている家と付き合ってもらうことで、
貧しい家の人間もやっと食い扶持にありつけるんだからさ。
他所の物が沢山集まることは家の力の目安だってこと。
オスマン堂の過去を考えれば、トル子ちゃんは人並み以上に言う資格があるだろ?
受け入れてくれる家に感謝しないようじゃ、食いっぱぐれるってことだってあるぜ」
アメリー君の言葉に周りはシーンとなりました。トル子ちゃんを除いて。
「あたしうれしい!やっぱりチャンピオンね!
起源ではあっても、今は野蛮な家の人たちとは違うわ〜」
この言葉は辺りを一層凍りつかせましたが、アメリー君は鼻高々です。
( どうしたの?今日のトル子ちゃんは )
そう思いつつも、ニホンちゃんは丸く治めようと頑張ります。
「食べる時くらい仲良くしようよ、ね?
餃子がチューゴ君の家から伝わったことは認めてるから」
「餃子じゃないアル!ゴーティエ、アル!ニホンは侵略の歴史を反省していないアル!
食べ物の名前は全て宗、いや被害者たるチューゴ家にあわせるアル!」
トル子ちゃんがまたもさえぎりました。
「全然名前が似てないじゃない。
大方ニホンちゃんが作った方がずうっと美味しいんでしょ。第一不潔じゃないし」
ニホンちゃんは、なおも作り笑顔をして、必死に話題をそらそうとしました。
「そういえばチューゴ君、餃子ってどんな意味なの?知らなくて気になってたんだあ」
おや?何故かチューゴ君は何故か黙ってしまいました。