週刊文春 2005年4月28日号
創価学会員インターナショナルが韓国で反日運動を煽動
島根県議会が三月に制定した「竹島の日」に端を発した韓国における反日
運動は、四月に日本の教科書検定結果の発表があったことで、さらにヒート
アップ。
最近は、中国全土に広がる反日運動の勢いにおされて日本での報道量は減
っているが、四月十五日には高野紀元駐韓大使の「棺」がソウルの日本大使
館前で燃やされるなど、韓国でも反日運動が収まる気配はない。
(中略)
これまでも日韓の間では「歴史認識」を巡って様々な応酬が繰り返されて
きたが、これほど険悪な状態に陥ったことはない。いったい、何がここまで
日韓関係を悪化させたのか――。
その疑問に答えるヒントの一つが、実は日本に本部を置くある宗教組織の
活動にあった。
四月七日、イスラマバードで日韓外相会談が行われ、竹島問題や歴史教科
書問題が話し合われたが、その翌日、韓国の新聞の一面に次のような記事が
掲載された。
<独島(竹島)妄言・歴史教科書歪曲糾弾、軍事主義亡霊の復活は敗北の道>
この見出しを掲げたのは、日本に本部を置く創価学会インターナショナル
(以下SGI)の傘下にある「韓国SGI」が発行する機関紙「和光(フア
グアン)新聞」である。
SGIは池田大作創価学会名誉会長を会長とし、全世界百九十カ国に約千
二百万人の会員を有する組織である。日本の創価学会もSGIの一員であり、
九五年に定められた「SGI憲章」の全文には、SGIの「全ての構成団体
及び構成員は、仏法を基調とする、平和・文化・教育への貢献を目指してい
く」と記されている。
前述した「和光新聞」は、韓国SGIが五月に「二〇〇五 国の愛 大祝
祭」というイベントを控えているとして、こう書いている。
<韓国SGIも「国の愛、独島の愛」という立場を確固たるものにするため、
「日本政府の妄言を強力に糾弾する」として、即刻、日本政府の謝罪を促し
た>
記事の下段には、三月十八日から二十七日まで開かれた、韓国SGIの圏
域別の男子部幹部会の写真が掲載され、<日本軍国主義の亡霊復活と独島野望
を強力に糾弾した>、<今回の問題に直面し、正しい歴史観を持つ青年の成長
が切望される時期だ。青年部として、創価人材として、成長しなければなら
ないという使命をより痛感する>などと書かれている。
宗教者である韓国SGIの青年部員たちが過度の愛国心を抱くことも問題
だが、「日本軍国主義の亡霊復活」とは、日本に本部を置く宗教団体とは思
えない書きようである。
ところが、この同じ幹部会のことを創価学会の機関紙「聖教新聞」(三月
三十日付)はこう説明している。
<今月、3・16「公宣流布記念の日」を祝賀する幹部会が全国で盛大に行わ
れた。(中略)青年の拡大、人材の拡大こそが、韓国の希望!―― 青年が青
年を呼ぶ大会が、新たな人材を育み、韓国の未来を照らしゆく>
韓国SGIが推し進める「国の愛」事業のことは一切触れておらず、五月
のイベントも<精鋭10万人が結集する5月の「青年部大会」>としか記して
いない。つまり、同じ大会のことを、日韓それぞれで別の言い方をしている
のだ。
なぜこんな不可解なことが起きているのか。全世界で日本に次ぐ会員数を
誇るという韓国SGIは、そもそもどういう成り立ちでできたのか。韓国S
GIのホームページによると、現在の信者数は公称百二十万人。これが本当
なら、韓国総人口の約四十分の一を占める大宗教団体ということになるが、
「脱会した信者も少なくなく、実際は約三十万人ほど」(韓国SGI会員)
という見方もある。
金大中政権で「反日運動」を激化
韓国SGIの前身は、六〇年代初めに発足した日蓮正宗の海外組織「韓国
日蓮正宗仏教会」である。八〇年代までは日蓮正宗が韓国の信徒への指導を
韓国SGIに委託してきたが、九一年に日蓮正宗から創価学会が破門される
と、「SGI文化会」という名称で活動を行うようになった。韓国SGIの
ホームページでは、七五年から活動を本格化させたとしているが、韓国SG
Iの元幹部は、韓国における活動の歴史をこう説明する。
「そもそも韓国で折伏が始まったのは、在日韓国人の創価学会員が韓国に里
帰りした際に、親戚や縁者を中心に行ったのが最初です。当時も韓国人の反
日感情が予想以上に強く、六四年、朴正熙大統領の頃にはご本尊を韓国内に
持ち込む行為や、国内での会合が禁止されたほど弾圧を受けた歴史がありま
す」
だが、七〇年代初めから韓国政府の弾圧は次第に緩み始め、「病気が治る」、
「心が安定する」、「裕福になる」などの名目で本格的な折伏を開始。七〇年
代初めに一万人程度だった信者数も、八〇年代には約三十万人に激増したと
いう。
「この頃の韓国SGIは、一時的には信者も増えたのですが、日蓮正宗との
対立問題があったり、『財務』と呼ばれる強引な資金集めが問題化して分裂
騒動が起きるなど、九〇年代まで嫌気が差して辞めていく信者も多かったの
で、信者数はずっと安定しなかった」(別の韓国SGI関係者)
韓国における反日感情をかわし、組織を安定させるために、八〇年代末頃
から韓国SGIは法人資格の取得を目標に掲げた。日本の宗教法人に当たる
「財団法人」の登録を取得すれば、韓国政府(文化観光部)公認のお墨付き
が得られるからだ。しかも、韓国での墓地事業や学校経営などもできるよう
になる。そして、韓国SGIは、二〇〇〇年四月に財団法人の登録を実現さ
せている。
この財団法人の登録と前後して、韓国SGIと韓国の歴代政権、日本の公
明党などとの関係が、韓国内外のメディアでも取り沙汰されるようになった。
「韓国SGIが盧泰愚政権や金泳三政権に近づいたという話もありましたが、
金大中政権の頃になると、大統領選の集票にからんだという情報が、韓国の
マスメディアに報じられたりもした。一方、日本では公明党の冬柴鉄三幹事
長が、在日韓国人を含む外国人への参政権付与や歴史認識での日本の謝罪の
必要性を言い始めるのです」(日韓関係筋)
だが、金大中政権になってもしばらくは韓国SGIは財団法人の資格が得
られなかった。そして、金大中政権が徐々に「反日」にスタンスを移すと、
韓国SGIも「反日活動」を激化させた。
韓国SGI青年部に詳しい元幹部の一人が言う。
「韓国SGIの反日的な活動が本格化したのは、わずかこの五、六年のこと
です。金大中政権が誕生して韓国の民主化が進むと同時に、各地で反日デモ
や歴史教科書歪曲を糾弾する署名活動を行うなど、"社会活動"と称した反
日運動を奨励し始めたのです。会員のほとんどが韓国人で占められる韓国S
GIでは、日本批判が"民族的自主性"と呼ばれ、若い韓国人を中心に支持
を得ているのです」
実際、二〇〇一年に韓国SGIは、「日本の歴史教科書を糾弾する国民大
会」を他の反日団体や市民労働団体などと共に催している。ソウルの宗廟公
園で開かれたこの大会にあわせ、韓国SGIは約百万人の署名を集め、日本
の"歪曲"教科書への対応を韓国国会に促してもいる。
(後略)
>>334 ちょっと訂正
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週刊文春 2005年4月28日号
創価学会インターナショナルが韓国で反日運動を煽動