【中朝韓】中国・半島情勢研究【総括】

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797日本の国益と中国への技術輸出その1
平成17年5月16日(月曜日) 静岡新聞
論壇 屋山太郎(政治評論家) 『日本の国益と中国への技術輸出』

新幹線売り込みに警鐘
 日中関係は「政冷経熱」といわれている。
経済をさらによくするために経済界から「小泉首相の靖国参拝を止めてくれないか」(北城恪太郎経済同友会代表幹事、小林陽太郎富士ゼロックス会長ら)といった声が上がっている。
財界人の七,八割はそう思っているようで、中国政府も「靖国参拝中止は新幹線の売り込みにも影響するだろう」などと揺さぶっている。
経済界を動かせば政治も動くはずと思っているようだ。
小泉首相がもし参拝をやめれば政治上のポイントと経済上の利益を両方得られるわけだ。
 こういう状況の中で、JR東海の葛西敬之会長が「大陸に新幹線を売るつもりはない」と言明したから大変である。
経済界代表として大々的に対中売り込みを図ろうとしていた経団連会長の奥田硯氏(トヨタ自動車会長)が会議の席で「今わざわざそういうことを言う必要はないだろう」と激怒したという。
葛西氏は「私の自論をいまあなたは初めて聞いたのかもしれないが、私は何年も前から言っている。新幹線の中国への売り込みは国益に沿わないのだ」と主張した。
 一方で日本は台湾がほとんど決めていた独、仏の新幹線購入計画をひっくり返して、日本新幹線の売り込みに成功した。
台湾には強力に売り込んで大陸には売らないという理由は何か。葛西氏に直接聞いてみた。
798日本の国益と中国への技術輸出その2:2005/05/26(木) 00:50:02 ID:VKUJU21D
 「中国(大陸)が考えているのは、最初の一,二両編成を購入して、その技術を移転して中国は自前で機関車も車両も造り出すつもりでしょう。
新幹線はレールの質、信号系統の技術など高度技術の固まりで、この技術を一,二両編成分の価格で持っていかれてはかなわない。
しかも事故が起こったとき、必ず日本側に文句をつけ賠償を求めてくるに違いない。何し履中国は契約が意味のない社会で主席が約束しても信頼できない」
 「これに対して台湾では新幹線は一路線しか予定がなく、したがって自前の車両メーカーを育てるつもりはないから、車両の更新期にはまた日本から買うでしょう。
乗員の訓練も一切合切日本でやって、それでも事故が起これば、そちらの責任ですよ、という契約にします。台湾は契約社会だから大陸とは違います。」

「更地の文明」認識必要
 台湾にはなお、独、仏型を一部分入れようとの意見があり、導入はスムーズに進んでいないようだ。
しかし、葛西氏の考え方は中国相手の商売はいかにあるべきか、日本の国益をいかに守るかについて重大な問題を提示している。
 売り込みに成功し、売り上げさえ伸ばせばそれで良しとする財界人は葛西氏の発想、行動を範とすべきだろう。
 中国大陸に輸出したら知的財産権などが守られる保証は全くない。
経済産業省は香港で「日立電器集団」「香港東芝電器」「日本松下電器」など日本の電器メーカーそっくりな社名が登記され、勝手に商品名に使われているとして調査を開始した。
 中国や南北朝鮮が独自の技術開発力を持たないのは中華圏独自の伝統のせいで、この伝統が破られない限り、コピー商品は永久に続くのである。
コピーして国内で売るだけではない。輸出攻勢をかけて日本の”正規品”を売れなくしてしまう。
中・朝といった中華圏には政権が変われば前政権のすべてを否定するという易姓革命の伝統がある。
この土壌では、政治も技術も蓄積しない。中西輝政京大教授は、「更地の文明」と名付けているが、「更地」相手の付き合い方を日本は身につけねばならない。