【韓国は】黒田勝弘 総合スレ4【変わったか?】

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895マンセー名無しさん
2005/07/16 産経朝刊から。
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◆【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 「壮大な無駄」の教訓
 北朝鮮は時々、「重大発表」とか「特別放送」を予告することがある。しかしいざ
発表に接してみると「なーんだ」という場合が多い。北朝鮮にとっては重大かもし
れないが、外部世界にとってはどうでもいいような内容が多いというわけだ。
 それでも一九九四年七月九日正午の予告された「特別放送」は、誰も予想しな
かった「金日成死去」の発表だった。これは文字通り世界を驚かす「重大発表」
だった。時にこんなことがあるので、北朝鮮の「重大発表」や「特別放送」はやは
り無視できない。

 韓国で最近、北朝鮮支援に関する「重大提案」がいわれていたため北朝鮮の
話を思いだした。

 政府、マスコミ挙げてしきりに「重大提案」というものだから、どんなものすごい
話だろうかと思っていたら「核問題解決のあかつきには北朝鮮に二百万キロワッ
トの電力を提供」−という話だった。

 「重大」というにはいささか拍子抜けだ。韓国なりに北朝鮮にエサを示して核放
棄に誘導しようというわけだが、北朝鮮がこの話に乗って核開発放棄に踏み切
るかどうかは誰にも分からない。だから実際は北朝鮮に対する「新たな経済支
援計画案」程度の話だ。それを「重大提案」というあたり韓国も北朝鮮並み(?)
になってきたか。

 ところで朝鮮半島の電力事情は、当初は北朝鮮の方が圧倒的に豊かだった。
日本統治時代に工業は北朝鮮に集中していたからだ。とくに中朝国境の大河、
鴨緑江に設けられた「水豊ダム」の水力発電などは世界有数のものだった。
896マンセー名無しさん:2005/07/16(土) 11:02:44 ID:GR8U02X6
>>895
 そのため一九四五年、朝鮮半島が日本支配から解放され米ソによって
分割占領された後も、北から南に電力が送られていた。それが中断される
のが一九四八年五月で、この北朝鮮による韓国に対する“経済圧力”は
二年後の朝鮮戦争につながる。北朝鮮は経済的、軍事的優位を背景に、
武力で一気に韓国を共産化しようとした。

 あれから約六十年、状況は逆転した。今や韓国が北朝鮮に電力を提供
したいといっている。韓国としては北朝鮮の韓国に対する経済的依存度が
高まることで、長期的には韓国主導の南北統一にもっていきたい。

 現在の経済的優位を背景にした長期楽観論である。北がそれに乗っか
るのか、事態は韓国の思惑通りに展開するのか、予想はつかないけれど。

 北朝鮮に対する電力支援の話は、一九九四年の米朝ジュネーブ合意で
北朝鮮に核開発凍結の見返りに軽水炉(原子力発電)建設が決まった当
時から出ていた。エネルギー支援なら「原発」より火力発電の方が簡単だ
とか、北では施設老朽化で送電ロスが多いため送電施設改善が先だ−と
いった話がそうだ。

 しかし結局、日米韓を中心に「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)」
ができ、北朝鮮で二百万キロワット級の軽水炉建設が進められてきた。工
事の進展度は35%で、これまで投入された資金は十五億四千万ドル。資
金のうち70%を韓国、30%を日本が負担してきた。米国は毎年の重油支
援五十万トンを負担した。

 軽水炉建設は北朝鮮の核開発疑惑(すでに核保有宣言までしている!)と
いうジュネーブ合意違反によって中断されているが、韓国は今回の電力支
援案を「軽水炉建設に替わるもの」としている。事実上の「軽水炉建設放棄」である。
897マンセー名無しさん:2005/07/16(土) 11:03:35 ID:GR8U02X6
>>896
 総額四十五億ドル規模といわれた軽水炉建設−つまりKEDOとはいったい
何だったのか。内部事情が限りなく不透明な超独裁国家での国際的な原発建
設計画に対し、当初から「体制に変化がない限り結局は実現しない」との見方が
あった。筆者もその一人だった。

 これに対し、KEDO関係者たちは「対北朝鮮安保上の保険みたいなもの」とか
「軽水炉建設事業を通じ北を国際社会につなげておく効果がある」などと、その意
義を強調してきた。しかし結果は北朝鮮の「核保有宣言」だった。

 北朝鮮東海岸の片田舎、咸鏡南道・琴湖の軽水炉建設現場には原子炉を設置
する巨大な穴が掘られ、各種の建設機器や資材が放置(?)されたままになって
いる。梅雨時の人影のない広大な建設サイトはひときわ、わびしいことだろう。

 この「壮大な無駄」の教訓は何か。まず北朝鮮との「合意」には甘い期待をかけ
るな、だ。そして独裁体制に変化がない限り合意はいつでも紙クズになる。そもそも
内部が不透明な独裁体制下で、国際社会は北朝鮮の「核放棄」や「非核化」をどの
ように検証するというのだろう。北朝鮮の対米不信より国際社会の対北不信の方が
はるかに大きい。