>>138 鄭雲鉉(ジョン・ウンヒョン)編集局長は「多くの人は自分の気持ちを
誰かに伝えたい希望がある。それを、世界中に配信できるネット時代が
可能にした」と成功要因を分析する。
読者が自由に意見や感想をメール送信できるネット上の読者室には、
記事一本につき約三千五百本の意見や感想が寄せられる。二〇〇二年の
韓国大統領選では劣勢といわれた盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏を後押しし、
選挙戦後半になると、一日平均約六百十万人がオーマイニュースの
大統領選記事を閲覧。若者を中心に「政治を変えよう」のスローガンが
ネット上の読者室に多数寄せられ、同氏の当選に大きく貢献した。
一方、日本でも「JANJAN」という市民記者によるネット新聞が
あるほか、プロ野球参入希望で話題になったライブドアもオーマイニュ
ースを模した新聞を今月、創刊する予定だ。欧米でも参入企業が出始め、
インターネット新聞は世界中に広がりつつある。だが、オーマイニュースの
鄭編集局長は
「韓国で成功したのは、一つの問題をネット上でみんなで議論する風土が
あるからで、日本や米国では成功しないだろう」
と他国での展開には否定的だ。
そのオーマイニュースですら大きな問題を抱えている。月間売上高
約三億ウォン(三千万円)の大半を広告収入に頼るが、経費は二億五千
万ウォン(二千五百万円)もかかる。最近になって黒字化は達成したが、
広告収入の変動は大きい。現在自主的に購読料を支払っている八百人ほどの
有料購読者をいかに増やすかも課題だ。
副業の市民記者もネタをどこまで深く掘り下げ、信頼性を確保できる
かが問われる。この点について鄭編集局長は
「関心の高い記事はプロの専門記者が追加取材も行う。ただ、インター
ネット新聞にとって一番重要なのは、読者も記者も一緒に楽しめる
“双方向性”だろう」としている。