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読売は変節漢1:
続き
確かに、実現までには課題も多い。選挙権と一体の関係にある被選挙権もその一つだ。自治体の首長など
への立候補は、国の統治権に触れないか。選挙権も認める境界線をどこに置くかなどだ。ヨーロッパ諸国でも
地方参政権を認める動きと同時に、是非を巡る議論も、なお活発だ。
だが、わが国にはこれら諸国とは違った事情がある。永住外国人の大半が、在日韓国・朝鮮人と子供たちだ
。戦前、わが国に強制連行された人も多く、敗戦後の対日平和条約で自動的に国籍を失った。
その多くが、すでにわが社会に根を下ろした生活を送りながら、国籍の違いから様々な法律上の差別を受け
てきた。
地方参政権を求める運動も、全国的な広がりを見せている。二百近い自治体が、請願を受け付けたり、選挙
権を認める決議を行っている。戦後五十年の今、法的地位の見直しは時代の要請でもあろう。
選挙権だけでなく、公務員や教職員などへの就職制限、スポーツ大会への参加など広く見直すべき分野も
多い。
公務員については、公権力の行使や公の意思形成に携わる者は「日本国籍が必要」との、内閣法制局の見
解(国籍条項)がある。他方、地方では技術職、教職員、医療従事者を中心に、この条項に触れない採用の動
きも広がってきた。
国際化を背景に、国境を超えた人々の動きは、さらに活発化が予想され、国際人権規約も、外国人への様
々な差別撤廃を求めている。その流れに遅れないためにも、最高裁が提起した問題は避けて通れない。