【ソウルから】黒田勝弘 総合スレ3【ヨボセヨ】

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228マンセー名無しさん
産経朝刊(2004/08/21)
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◆【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 過去に熱上げる韓国政治
 韓国の政治はまるで李朝時代(朝鮮王朝=十四−二十世紀)の風景を
見るようだ。各政治勢力が儒教教義の解釈などをめぐって果てしなく争い、
しばしば死者まで出たという李朝時代の「党争」を思わせるからだ。
韓国政治は今、六十年前に終わった日本統治時代の対日協力者である
「親日派」をあらためて調査し糾弾する問題で大もめしている。
 盧武鉉大統領自ら「八・一五光復節記念演説」で、演説の半分をこの
問題に費やし「歪曲(わいきょく)された歴史は正さなければならない」
といっている。

 そういえば十年前にも金泳三政権が「歴史立て直し運動」を主張して
いる。彼は国立中央博物館になっていた日本統治時代の歴史的建物であ
る旧朝鮮総督府ビルをぶっ壊す行事までやった。韓国では歴代大統領、
こうしたことをやらないと格好がつかないということだろうか。

 こんな韓国だけに歴史認識問題など日本にとっては付き合うのは大変だ。
彼らは昔から歴史観をはじめ独特の政治文化を持っている。日本がそれに
合わせるなどというのはどだい無理である。

 盧大統領は先の演説で「日本統治時代に独立運動をした人はその後、
三代にわたって貧乏し、親日派は三代にわたって羽振りがいい」という
話を紹介した。大統領がこの種の“俗説”を記念演説で引用したのには
驚いたが、この「三代にわたって」というのが面白い。

 しかし問題は、親が独立闘士であれ親日派であれ、子孫が努力しなけ
れば貧乏するだろうし、逆にがんばれば裕福になるだろう。ただそれだ
けのことである。それが近代社会というものである。しかも韓国の場合、
日本支配が終わった解放後の社会では、独立運動家はもてはやされ親日
派は非難されている。独立運動家の子孫が貧しかったとすれば、それは
子孫の責任だろう。
229マンセー名無しさん:04/08/21 07:42 ID:pi5p9EJ8
>>228
 なのに大統領は、親日派の子孫が羽振りがよく、独立運動家の子孫が
貧乏なのは問題だ、間違っているといっているようにみえる。これでは
「個人」より血筋とか家門が重視されなければならない、ということに
なるではないか。

 盧政権は大統領以下、ほとんどが解放後生まれの若い世代で民主化
運動出身の進歩派が多い。その新世代政権が過去好きで血筋や家門など
という古い価値観にとらわれているのだ。これは韓国の変わらぬ政治
文化、政治風土というしかない。

 「親日派問題」を学者・研究者のテーマではなく、政党・政治家が
政治問題として立法措置までして熱意を示す背景にはいくつかの理由
がある。たとえば、そうすることで自らを「民族主義者」としてアピ
ールできるという計算がある。韓国ではいまなお「日本を批判すれば
愛国者」という社会的雰囲気がある。

 と同時に「親日派問題」には現実政治における政争上の計算がある。
政権・与党としては人気上昇中の野党の朴槿恵代表に対する攻撃を
狙っている。旧日本軍将校だった父の故朴正煕大統領を「親日派」
として非難することで、その娘の朴代表に打撃を与えられるというわけだ。

 与党は過去の朴大統領時代の野党弾圧を材料に、朴代表を「独裁者の
娘」としてすでに非難を続けている。
230マンセー名無しさん:04/08/21 07:42 ID:pi5p9EJ8
>>229
 このように親のことや血筋がモノをいう政治文化だから、今度は
対野党攻勢の先頭に立ってきた与党ウリ党の辛基南議長(党首)が、
父親が日本統治時代に日本軍憲兵の下士官だったことが明らかになり
辞任を余儀なくされた。「憲兵」というと韓国社会では歴史的に
「日本帝国主義」の悪のシンボルになっている。それを隠していたと
いうわけだ。

 これまで押され気味だった野党は反撃に転じ、あらたに「過去史
清算をいうなら大韓民国に対する破壊活動に加わった親・北朝鮮の
共産主義者や反体制派の過去についても総点検しようじゃないか」
という。これだと父が親・北朝鮮系の共産主義者だったという盧大
統領の夫人の「血筋」が問題になってくる。野党はそのあたりを
計算し巻き返しに出ているのだ。

 韓国政治は過去や血筋をめぐって乱打戦の様相になっている。解放
後生まれの新世代で二十一世紀の大統領なら、本来は「八・一五記念
演説」では“過去離れ”すべきだろう。そして「過去や血筋の話は
もうやめよう」と訴えるべきだろう。

 実務的というより頭でっかちな左派や革新系の影響力が強い政権
だけに、逆に「歴史を正す」などといったカッコいいが観念的な
テーマに飛びつきやすいのだろうか。果てしない妥協知らずの
「党争」の歴史を持つ韓国政治に過去離れの出口はいまだ見えずだ。