2004年3月8日 朝日新聞大阪版読者投稿欄 声
【強制連行以外どんな言葉が】
無職 駒井 薫(神戸市兵庫区 76歳)
「強制連行」とは何かということだが、第2次世界大戦末期に入り、
私達も学業をやめて工場へ勤労動員された。
通勤の電車には、朝鮮半島の若者も多数乗っていた。
彼らは動員され、徴用されて日本に連れてこられたのだが希望者を
募ったわけではなく、やはり強制的に徴用されたのだと思う。
歴史教科書から「強制連行」の文字を削除して一体何を言いたいのか。
まさか、日本が紳士的に動員したと言いたいのではないだろう。
とにかく過去の悪事を隠し、きれいごとを並べようとする人間のいやらしさである。
当時は軍の命令で事を運び、反発など出来るはずもなく、
国民は引きずられていたのである。
あの朝鮮の若者たちは20歳をすぎていた者ばかりと見られ今も
その姿ははっきりと脳裏に刻まれている。
港湾で労働する外国人捕虜も見た。
外米の握り飯を地面に座ってほおばる姿も。
戦争とはこんなもの、決して正常なものではない。
「強制連行」が気にくわないなら、どういう言葉を使いたいのか。
歴史を美化するのは恐ろしいことであり、真実をかくしてしまうことである。
「れきしをねじ曲げるな」である。