日経 2004/5/13 1面
川重など6社 中国の鉄道高速化応札へ 在来線に新幹線車両
川崎重工業、三菱商事など日本企業六社は、中国の鉄道車両大手、南車四方機車車両
(山東省青島市)と組み、中国在来線の車両高速化プロジェクトに応札する。時速二百キロ
メートルの特急路線を五路線、総距離二千キロメートル超にわたり整備する計画で、近く入
札が始まる見通し。日本勢は東日本旅客鉄道(JR東日本)の最新の「はやて」型新幹線を
提案する。落札すれば一千億円規模の大型商談になる見込みで、日本の新幹線技術が
台湾に続き中国にも移転されることになる。
日本の企業連合は川重などに日立製作所、三菱電機、伊藤忠商事、丸紅を加えた六社。
六社は既にJR東日本から車両技術の提供を受ける特別目的会社「光基鉄道システム」
(東京・千代田、資本金一千万円)を設立した。同社は川重を介して技術を中国へ移転する。
実際の入札は、中国の南車四方が窓口となる。
今回の事業は中国政府が計画する新高速鉄道(北京―上海)に先行する在来線の高速化
プロジェクトで、落札すれば日本の鉄道技術を中国へ本格移転する初のケースとなる。新高
速鉄道の受注など、中国での事業拡大の突破口になりそうだ。
在来線の高速化は新型車両の導入で主要都市間の運行速度を現在の倍の時速二百キロ
メートルに高めるもので、北京―瀋陽など五路線、計二千キロメートル超がまず候補に挙が
っている。最終的には総距離二万キロメートルの在来線を高速化する大規模な計画で、
新高速鉄道(時速三百キロメートル、距離千三百キロメートル)を総距離ではるかに上回る。
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月内にも概要が示される入札で、日本勢は川重をとりまとめ役に最高時速二百七十五キロ
メートルの「はやて」を改良した新型車両を提案する。落札後、まず日本から完成車両を輸出。
南車四方への技術供与も進め、早期に現地生産に切り替える。早ければ二〇〇五年中にも
一部運行が始まる予定。
入札では南車四方・日本六社連合のほか、中国鉄道車両大手の長春軌道客車(吉林省
長春市)も独シーメンスと組み、ドイツ版新幹線の「ICE」の車両を提案するもよう。二陣営とも
高い競争力を備えており、二陣営が五路線を分担して受注する可能性もある。
川重など六社は北京―上海の新高速鉄道計画に、運行制御システムを含めた新幹線シス
テムの売り込みを目指す「中国高速鉄道日本連合」の中核企業にもなっている。在来線の
高速化が先行する見通しとなったため、別途体制を整えた。
日本の新幹線技術は、海外では今年九月にも試運転が始まる台湾の高速鉄道(台北―
高雄間)に初導入される。