日本は歴史を顧みることがなく、過去の清算を置き去りにしたまま、
国家犯罪の傷跡を風化させ、均質化させ、忘却の灰とさせて、あるいは
無意味な慰霊碑を建てることで、かえって曖昧にし、歴史の闇に隠れた悲劇を
想起させることもなく、自分たちの国がおかした罪の意識を
省みることなく、意識から遠ざけようとしている。こんな感じであろうか。
ある雑誌で、名前は忘れたが、朝鮮人・中国人強制連行者の悲劇の場となった
鉱山の特集が組まれていた。本屋で立ち読みしたときの感想さ。
日本の国家犯罪や蛮行の被害者は決して日本による
精神的に、肉体的に痛めつけられ、一切の自由を奪われ、
過酷な環境の中、こき使われ、同胞が次々と死んでいく、
虐殺されていく中で覚えた被害者の苦痛は決して薄らぐことはないだろう。
加害者、特に何食わぬ顔で虐待した加害者や日本国の意識はすぐに
薄れるし、強制労働現場は時が立つにつれて、風、降雨などによって、
物理的に風化し、もはや忘却の場ですらない、”灰”と化すだろうが、
被害者の心の傷は時間がたてばたつほど、深くなり、家族にも話せず、
精神的に追い詰められていく。