2004/06/26 産経朝刊から(少し遅いでつが)
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◆【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 自衛隊、韓国で“積極防衛”を
日本の自衛隊創設五十周年のレセプションが十八日夕、ソウルでも行わ
れた。日本の在外公館では毎年、この自衛隊記念日の行事を行っている。
今年は五十周年ということもあって大使公邸ではなく市内のホテルで開い
た。ホテルでの開催は過去にもあり、必ずしも初めてではない。「大使公
邸は場所が不便で評判が悪いこともあって今回はホテルにした」(日本大
使館筋)という。
ところがどこで聞きつけたのか、慰安婦問題支援など反日団体のメンバー
が元慰安婦の老女たちを押し立てて会場に押しかけ(?)、プラカードや
シュプレヒコールで気勢を上げた。一行は三十人ほどでこれ自体はたいし
た出来事ではなかったが、例によってマスコミが飛びついた。
この日の夕刊紙は「日本自衛隊五十周年行事/都心のホテルで大規模開
催/市民団体反発などで問題」と社会面トップ記事に仕立てられ「最近、
わが国、中国など日本の周辺国を中心に日本の軍備増強に対する憂慮が高
まっている中で、在韓日本大使館がソウル都心で自衛隊創立五十周年記念
行事を大規模に開き問題になっている」(文化日報)と書き立てた。
記事はさらに「市民団体の強い反発を買っている」として「日本政府が
ここまで堂々と行動するとは驚きであり戸惑うばかりだ。もしわが政府が
これを容認するなら日本の軍事大国化を憂慮している国民感情を無視した
ことになる」と市民団体の声を紹介している。
>>870 また、別の新聞はデモ主催者のこんな話も紹介している。
「外交通商省に抗議したところ、韓国も外国で国軍の日の行事をやって
いる、日本はやっていけないというのか、といわれて驚いた」「出席した
韓国人の名前を公開し外を出歩けないようにすべきだ」(十九日付の京郷新聞)
その他、ほとんどの新聞やインターネット・メディアが同じ調子で伝え、
テレビもレセプションにやってきた国会議員を追い回し“非難的質問”を
突きつけていた。このため会場には入らず、そのまま引き返した国会議員もいた。
日本大使館が発送した招待状は約九百通でうち約二百人が出席した。
出席者の数は例年の水準だったが、招待者の数に比べると少なかった。
とくに出席した国会議員は一ケタに過ぎなかった。マスコミの非難、監
視(?)の影響があったのかもしれない。
招待状はマスコミ界にも送られているため、今回のレセプションが一定
程度の範囲で知られるのはおかしくない。それでも過去にはなかったデモに
大使館当局も首をひねっていた。その背景の一つとして「新しい国会がスタ
ートしたので多くの国会議員に招待状を送ったが、与党を中心に市民運動と
つながりの深い革新系の議員が増えているため、行事内容が外に広く伝わる
可能性はある」(日本大使館筋)という話も聞いた。
>>871 それにしても相変わらずである。慣例になっている外交行事にもイチャ
モンが付くのだ。反日団体は仕方ないとして、テレビをはじめマスコミが
それに乗っかって依然、反日を楽しんで(?)いる。
日本の自衛隊は近年、イラク派遣をはじめ海外での活動が増えている。
東ティモールでは韓国軍との協力風景もあったという。実は韓国との防衛
交流(韓国では当然、軍事交流といっているが)も近年、すこぶる活発だ。
制服幹部の往来や留学生交換はもちろん、海上部隊による合同救難演習も
定期的にやっている。
今回のようなトラブル(?)があると双方の軍や外交関係者は決まって
「実際の日韓軍事交流はかなり進んでいるんですがねえ」とつぶやく。当
事者は結構、交流を深めているのにそれがマスコミをはじめ一般には知ら
れていないし、理解されていないのだ。
しかし日本側も韓国との防衛・軍事交流の実態についてはPRが実に足りない。
印象的にいえば、人の往来をはじめ外部にはできるだけ知らせず「隠れ
てコソコソ」という感じがある。ソウル駐在日本マスコミにもそうだから、
韓国マスコミなど韓国世論にはほとんどPRされていない。
日本側は今回のようなことがあるといっそういじけそうだ。しかし積
極広報こそ最大の防御策である。日本では相手が過去がらみの韓国とい
うとすぐ“守り”に入りがちだが、今や“攻め”が必要な時代になっている。