2004/06/19 (産経新聞朝刊)
【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 名札はハングル?( 6/19)
韓国の国会が開院した。今回の新議員は一九四八年の大韓民国スタートから十七代目に
なる。国会事務局は開院を前に、本会議場などでの議員の名札を新しく作るため、名前は
漢字がいいかハングル書きがいいか、議員全員に質問した。その結果、ハングル派が90
%近くを占めた。十六代では四割足らずだった。
議員の好みに従うため国会での名札は漢字派とハングル派が混在することになるが、若
い世代の大量進出でハングル派が圧倒的多数になってしまった。韓国人は漢字を排除しな
がらも漢字に対してはある種の文化的権威を感じてきたから、これまで国会議員の名刺に
は漢字がよく使われてきた。しかし新議員は名刺も当然、ハングル書きということになる。
韓国では日韓議員連盟の議員交流でも今後は英語でやるべきだという話が出ているが、こ
れからお互い名前の確認さえ漢字では難しいということだ。
一方、韓国では最近、反米の反射心理もあって中国ブームだ。「韓中日協力」などといっ
た掛け声もよく聞く。しかし漢字抜きの“三国交流”ではサマにならない。韓国の漢字排
除は明らかに民族主義感情からだが、日本人の漢字好きはなぜだろう。これは韓国に比べ
日本には中国の影響が弱かったせいだろう。だからあまり気にしないのだ。(黒田勝弘)