>>177 ≪なお「脅し外交」≫
【ソウル=黒田勝弘】APEC首脳会議に出席している日米韓の首脳は、北朝鮮の核問題解決
のため北朝鮮に対する「安全保証」を文書化する方向で一致したが、これは「北朝鮮が核廃棄
に進展をみせること」が前提になっている。しかし「まず安全保証を」というのが北朝鮮の立場で
あるため、これによって北朝鮮の態度がすぐに軟化する見通しは今のところない。
日米韓のこうした動きに対し北朝鮮は十八日、「米朝枠組み合意」十年目に当たる二十一日を
前に外務省スポークスマンの談話を発表し、合意廃棄を米国の責任として非難するとともに「わ
が方が米国の欺瞞(ぎまん)の手法に乗せられて自ら武装解除すると考えるなら大きな誤算だ。
わが方の核抑止力の強化は時がくれば実物によって証明されるだろう」とあらためて核実験実施
の可能性を示唆した。これは北朝鮮に「まず核廃棄を」と要求している国際社会に対し、「早く体制
維持の保証をしないと核実験をするぞ」と脅したものだ。
北朝鮮がまず示すべき核廃棄にかかわる「進展」がどういうもので、その見返りの北朝鮮に対す
る「安全」をどう「保証」するのか−について日米韓は六カ国協議で話し合うという立場だが、北朝
鮮は米国とだけ交渉するといっている。北朝鮮は「核実験」という脅しで交渉を有利に展開させると
いう「瀬戸際政策」を捨てていない。
この「脅し外交」に国際社会は我慢できるかどうか。北朝鮮は日本に対しても「核問題解決のた
めのいかなる場にも日本が介入することは絶対に容認せず、相手にしない」(労働新聞十九日付)
と言いたい放題を続けている。