>>166 盧大統領としてはこれは計算済みで「信任」には自信があるものとみられる。そうでなければ
自ら言い出すはずはない。「信任」を得た後、本格的に総選挙対策に乗り出すことになるが、そ
の際、画期的な「政治改革」と称して既成の政党や政治勢力、政治家の枠を超え、「汚染」され
ていない新鮮な若い世代による新勢力作りを目指すというのが政界筋の観測だ。
盧武鉉政権は「国民参加の政府」を政権の看板にし「直接国民を相手にした政治」を主張して
いる。国民投票はまさにその政治スタイルだ。
今後はNGO(非政府組織)的あるいは市民運動的なアマチュア勢力を幅広く集めた「新与党
集団」を作り、政権の基盤にするという考えのようだ。既成政党や既成政治家を否定し、既成の
政治秩序を破壊するという、その衝撃と新鮮味で総選挙に勝とうという作戦とみられる。
したがって今回の「信任投票」作戦は総選挙に向けた時間稼ぎであると同時に、しばしば意外
性で勝負してきた盧武鉉大統領得意の「衝撃戦術」の第一弾といっていい。
しかし盧政権については人事をはじめあまりにアマチュア的で、政策推進への不安が支持率
低下につながってきた。とくに保守派の間では盧政権の革新的体質や既成秩序否定に接して
「何を言い出すのか、何をやりだすか分からない」という不安感が強い。「信任投票の有無にか
かわらず、盧大統領の政治スタイルに変化がない限り政権の安定は難しい」というのが政界筋
の大方の見方だ。