>>152 これには「われわれは一つ」とか「同じ民族」といって浮かれ(?)ていた韓国国民も驚いた。
北がいっている「統一祖国」の風景は実はあれなのだが、韓国国民には久しぶりにいい教材
になったようだ。
しかし懲りないのはテレビで、韓国の財閥・現代グループが南北交流事業として平壌に建て
て寄贈した体育館の竣工(しゅんこう)式に招かれたテレビ局は「早く統一しましょう!」という北
の美女たちの声を伝えながら、相変わらず「南北統一への確実な一歩となるでしょう」などとやっ
ている。
ところで八月の「美女応援団」は北に帰った後、金正日総書記以下に「よくやった」とその忠誠
ぶりを褒められたのだろうか、それとも「やり過ぎた」とたしなめられたのだろうか。確実に前者
だが、ただ鼻白んだ韓国世論を参考に今後の対南戦術の微調整はあるかもしれない。
さてもう一つの不思議は、韓国のいわゆる民主化勢力が北朝鮮の民主化には沈黙している
という点だ。金大中前大統領や盧武鉉大統領を含む民主化勢力は韓国の過去の政権に対し
てはあれだけ「独裁打倒」や「民主化」を叫び激しく闘争してきたのに、北朝鮮の軍事独裁体制
には知らん顔なのだ(ただ、同じく民主化闘士だった金泳三元大統領は例外だが)。
この不思議−ナゾにも最近、一つの答えが出た。北朝鮮の朝鮮労働党政治局員候補で「大物
スパイ」ではないかとの疑惑が韓国社会を揺るがせている「宋斗律事件」がそれだ。
宋斗律氏(五九)はドイツ在住の韓国人学者で、一九七〇年代から韓国に対する民主化運動
を展開してきたいわゆる「在外民主化人士」として知られる。しかし韓国の情報当局や保守派の
間では親・北朝鮮的な言動から疑惑の目で見られ帰国を拒否されてきた。ところが革新系の盧
武鉉政権の誕生でこのほど帰国OKとなった。韓国の民主化に貢献したというのだ。
>>153 しかし三十年以上にわたってひそかに宋教授を追跡してきた情報機関は承知しない。早速、
国家保安法違反の疑いで取り調べに入り、膨大な蓄積情報でその「正体」を明らかにしつつある。
朝鮮労働党への入党、政治局員候補の待遇、労働新聞一面トップを飾った金日成主席との
記念写真、金日成葬儀の際に金正日総書記の前で慟哭(どうこく)する姿、ドイツ経由の韓国
人の北朝鮮入国あっせん、北朝鮮からの活動資金授受…誰がどう見ても北のエージェント
(代理人)である。
これでは北朝鮮の独裁打倒や民主化をいえるはずはない。何のことはない、過去、韓国に対
し政権打倒や民主化を叫んできたのは、北朝鮮−金日成・正日体制を支援するためだったのだ。
北の民主化に沈黙し続けてきた韓国の民主化勢力や在外民主化人士は今、重大な疑惑の対
象になっている。北の民主化を言わない、いや言えない民主化勢力などというのは悲劇より喜劇
だろう。
ところで「民主化」に続いて韓国では最近、反戦や平和が流行語になっている。これは北朝鮮
とは関係ないのだろうか。