【移民志願者】グッバイコリア【殺到】

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■　『Younghee Ahn の韓国レポート』　　　　　　　　　　　　　　　 第１１４回
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「グッドバイ・コリア」

　昨年の韓国はＷ杯の熱気で国民が一致団結しているように見えた。太極旗（テグッ
キ：韓国の国旗）を掲げたり、衣装として纏い街を闊歩する若者たちの姿からは自国
に対する自負心も見られた。「デーハンミング（大〜韓民国）」は韓国人の掛け声と
して定着した。当時の韓国はまさに国民のエンドルフィンがどんどん出ている状態だっ
た。

　しかし、今年の韓国は打って変わった。北朝鮮の核問題が深刻化し、北朝鮮に対す
る韓国政府の対応も変わってきている。また、景気の回復は見込めないまま青年失業
が増える一方、大企業の組合は強硬なストライキを敢行し「労働貴族」とまで言われ
る。つまり、労働時間は減らしても賃金は下げられないようにしたり、解雇も工場の
海外移転も制限するという条件を出して、それを貫徹させたからだ。

>>2

　クレジットカードの乱用で借金を重ねた信用不良者の数は増え、生活を苦にして自
殺または心中する人の数も増えている。そうかと思えば一週間で１億ウォン（約１千
万円）も値上がりしたアパートに関する記事が庶民をますます暗くさせる。

　先月（８月２８日）、韓国の某ホームショッピング（ＴＶショッピングを専門に流
すケーブル局）では、「移民」という珍しい商品を披露した。「移民」というのは、
文字通り「韓国籍を捨て海外に移住すること」である。この「移民」商品は、１７５
億ウォンを売り上げ、ホームショッピング史上単一品目、単一放送時間の売上新記録
を達成した。

　また、今月（９月４日）の第２次販売にも申し込み者が殺到した。９月４日の午後
１０時５０分からカナダへの移民斡旋サービスを販売した結果、前回の記録を１５分
で更新してしまった。売上は約５３０億ウォン、申請者は２，９３５人だった。

　第二次販売ではショッピングホスト（商品を紹介したりする司会者）が「皆さんの
人生がかかった問題です。衝動的に考えないで慎重に考えてから申し込んでください」
と繰り返し言ったが、放送開始２０分で相談申請者が１，０００人を超えるほど人気
が高かった。

>>3

　二回にわたって紹介された移民商品はカナダへの独立移民（６２０万ウォン）、技
術教育移民（２８００万ウォン）、事業移民（８５０万ウォン）と３つ。このうち現
地で語学および技術教育を受けさせてから移民資格を与える技術教育移民に全体申請
者の６８．９％が集中した。年齢代別としては、３０代（４９．５％）が一番多く、
次いで４０代（３１．７％）、２０代（１０．９％）の順だった。

　第一次販売ですでに社会問題化したこの「移民」商品を開発した会社は、第二次販
売を見合わせるかどうか緊急会議を開いた。しかし、無形商品を開発する会社の方針
から第２次販売を進めることになったという。また、９月６日〜７日には「第６回海
外移住移民博覧会」が開かれ、移民申請者が１５，０００人に達した。

　今までは移民を考えている人が多いとマスコミで騒いでも肌感覚としてあまりピン
とこなかった。しかし、「移民」商品への殺到ぶりを目の当たりにすると、韓国人の
韓国離れが実感できた。調査会社メディアカンが９月８日から９日まで「なぜ今海外
への移民が増えていると考えますか」という質問を実施した結果、２，０８８人中、
１，０４２人が「韓国社会に対する不満」のためと回答した。

　「オー必勝ＣＯＲＥＡ」の音楽が鳴り止まないうちに「ＧＯＯＤＢＹＥ　ＫＯＲＥ
Ａ」になってしまったようで何とも寂しい気がする。

>>4
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Younghee Ahn（アン・ヨンヒ）
韓国生まれの韓国人。小学四年から高校一年まで、大阪在住（大阪の北野高校に最年
少で入学、韓国へ転勤になった父親と共に帰国。いわゆる帰国子女組）。日本語の修
士課程卒業。同時通訳からスタートして、放送コーディネーターや翻訳、トレンドに
ついてのレポートなどを発表。今は、韓国の女子大で、日本語の講師も務める。
著書に『シナブロ（知らぬ間に少しずつ）』（小学館）
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860971/jmm05-22

以上ＪＭＭより