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電子大攻勢(4)世界一25品目が狙う(サムスンはどこまで強いか)
2003/06/19 (日経産業新聞)
「これは社外秘で見せられません」。ソウルのサムスン本館役員室。中期計画を説
明していた役員の資料に「二〇一〇年世界シェア第一位目標品目一覧」があった。家
電でも3品目
サムスン電子が二〇〇二年に世界シェア一位になったと公表しているのは、DRA
M(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)など七品目。
調査会社によっては、カラーテレビ市場でも二〇〇二年に初めてサムスンが首位に
立ったと見る。だが、経営企画を担当する金鉉徳専務は認めない。「例えば、ソニー
製カラーテレビと比較した単価にまだ格差がある。数量だけの世界一位では意味がない」
サムスングループの李健〓会長は一九九三年六月にフランクフルトで「新経営宣
言」を出し、数量重視から質重視経営への転換を打ち出した。金専務は「世界シェア
一位を狙うのは、経営体質を強くするため。低価格競争の結果では持続性がない」と
説く。
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:03/06/20 22:42 ID:77mIKJHE
数年前まで、サムスンの収益の大半をDRAMが稼ぎ出した。だが、DRAM以外
のメモリー製品のシェアが上昇、半導体不況への抵抗力が強まった。一方で液晶パネ
ルや携帯電話機が育ち、「収益構成も大幅に変わった」(金専務)。持続的な強さ―
―。サムスンはさらにどんな市場で「世界一」を狙おうとしているのか。
ある幹部が門外不出のリストの一部を見せてくれた。サムスンは二〇一〇年までに
二十五品目で世界シェア一位を狙う。今後首位を狙う品目には、液晶テレビ、携帯電
話機、DVD、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などが入っていた。
予想外だったのは「家電商品」が三品目もあったこと。実は、完全な成熟市場と見
られる家電商品もサムスンは「潜在的成長商品」と見ているのだ。韓龍外・生活家電
統括社長は語る。「世界の家電製品の二〇〇二年の市場規模は千六百億ドルで、半導
体とほぼ同じだ。成長率は年間二、三%だが、重要なのは撤退企業も多いこと。当社
にとっては有望分野だ」
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:03/06/20 22:43 ID:77mIKJHE
サムスンが「世界一作戦」で最も力を入れるのは、ライバル企業の動向の徹底した
情報収集とブランド価値向上だ。毎年数回開くグループ社長団会議では、戦略商品ご
とに会議室にライバル企業のヒット商品が運び込まれ、詳細に比較する。
どの幹部と会っても「ソニーの今度のテレビは」「東芝の最新パソコンは」といっ
た具合に、比較対象企業の商品についての話がどんどん出る。これは八〇年代以来の
サムスンの伝統だ。
最近は、さらに「ブランド価値」が加わった。もちろん基本は「商品力とアフター
サービス」。これ以外に、オリンピックの公式スポンサーになるなど企業イメージ向
上策にも積極的だ。
英インターブランドと米ビジネスウィーク誌の共同調査によると、二〇〇二年の
「サムスン電子」のブランド価値は八十三億ドルで世界企業中三十四位。九九年の三
十一億ドル(ランク外)から急上昇した。「ブランド価値は平均単価に直結する」
(金専務)と、今年も十二億ドルを商品広告以外のマーケティング費用に投じる。商
品力にブランド力が合わさった時、サムスンの強さはさらに「持続的」なものにな
る。