【朝日を】中日新聞がおかしい!【超える】

このエントリーをはてなブックマークに追加
456 
東京新聞4月13日6面

新聞を読んで 魚住昭

圧制時代が生んだ鋭い韓国メディア

 最近、韓国のジャーナリズムに心を揺さぶられることが多い。その一つがイラクの米軍に同行する朝鮮日報の女性記者・姜仁仙さんの従軍ルポである。
毎日新聞に連載されて評判になっているから、読まれた方もあると思うが、文句なしに素晴らしい。
 と言っても彼女のルポには戦闘の模様はほとんど出てこない。彼女が書いているのは、米軍指揮所で軍人や従軍記者たちが織りなす人間模様であり、
彼女自身の心象風景だ。言ってみれば、戦場という異常な空間に身を置いた人間の身辺雑記である。
 彼女は米軍と運命を共にし、彼らと心を通い合わせながらも戦争を客観視する目を決して失わない。
死の恐怖におびえる自分の弱さも隠さない。そして戦場での「獣以下の生活」を淡々と描写しながらこんな述懐をする。
 「戦場から戻ったら、記者は戦争映画を見ない。ロマンスを交えて仕立てた甘ったるい内容なら、もっとお断りだ。
戦争は1000倍の水で薄め、砂糖を入れても飲めない毒薬のように苦い」
 どこまでも自分の目と耳と感覚で、この戦争の本質を見極めようとする彼女の強靭でしなやかな精神には圧倒される。
妙に高揚した面持ちで米国と一体化したような発言を繰り返す、どこぞの国の公共放送の記者やアナウンサーとは大違いだ。
457456の続き:03/04/13 23:13 ID:yJhuQfAl
「新聞を読んで」という表題にはそぐわないかもしれないが、昨年の小泉訪朝をすっぱ抜いた文化日報の前東京特派員・李秉?さんが
月刊『現代』五月号に書いた「日本の北朝鮮『異常報道』に異議あり」という論文も韓国メディアの鋭さを見せつけてくれた。
 李さんはその中で最近の日本のマスコミ、特にテレビの北朝鮮報道が「にわかに理解しがたいような、感情剥き出しの状態」で「ためらいもなく北朝鮮を感情的に卑下し」ていると指摘している。
 さらに李さんは、初来日したときのホテルの部屋で見た「韓国では想像もできないヌードの女性や淫乱な内容の会話が、堂々と公共の電波に乗って流れ」る深夜テレビに衝撃を受けたという体験を披露しながらこう述べた。
 「もしそのような番組、場面を集めて『これが日本だ』と韓国で紹介したら、韓国の視聴者はどう受け止めるだろうか。
日本という国は低俗で道徳観念のない人々が住む『異常な国』だと認識するに違いない。その国の現実と歴史的背景を無視して外部の物差しで評価しようとすれば、異常に見えない社会はないはずだ」
 私はこの李さんの文章を読んで目からウロコが落ちたような気がした。
それまでは最近の北朝鮮報道にへきえきしながらも、あんなに異常な番組が量産されるメカニズムをはっきり把握できなかったのである。
 姜さんの従軍ルポも李さんの論文も、韓国のジャーナリズムが長い戦乱や圧政の時代をくぐり抜けて培ってきた精神の高さを示している。私たちが学ぶべき点はあまりに多い。
(ノンフィクションライター)