「カイコ花火で大騒ぎ」
ニホンちゃんが池のそばを散歩していると、キッチョムくんが声をかけてきました。
「おいニホン!」
「なーに?」
「明日、ウリはカイコ花火をするニダ。きれいな花火だけどニホンは見ちゃ駄目ニダ」
カイコ花火というのはチューゴ君がつくっていた花火です。形がカイコの作るマユの
ようなのでカイコ花火と呼ばれています。
「へ、へえ……。ちゃんとバケツを用意してやってね」
ニホンちゃんは、(´-`).。oO(そんな昔の花火、火がつくのかな) などと思いながら、その
場を去りました。
次の日。
「うわああああああああ大変だよおおおおおおおお」
奇声を張り上げて日之本家へかけ込んできたのは、カンコくん……ではありません。
ニホンちゃんの親戚の一人、ドキュソちゃんです。
ヒッキーというわけでもないのに学校をさぼりがちなドキュソちゃん、別に勉強がぜんぜん
できなくても欠片も気にしない彼女ですが、今は顔面蒼白、目が血走っています。
「ど、どうしたのドキュソちゃん!?」
「ニホンちゃん、ウヨくん、いいからはやくこっちに来て!」
あまりの剣幕に、ニホンちゃんとウヨくんは大慌てでドキュソちゃんについていきます。
連れていかれた先は、日本池。震える指で、ドキュソちゃんは対岸を指しています。
そこにはキッチョムくんが、カイコ花火に火をつけているところでした。
カイコ花火は火が入ると二三秒、薄い色の煙を上げているだけでしたが、突然思い出した
ように赤黄青とカラフルな色のスモークを撒き散らしながら飛びあがり、30センチほど先の
日本池にぽちゃんと落ちました。
とそこで、キッチョムくんがニホンちゃんたちに気づいたようです。
「何を見てるニダ。あっち行くニダ」
キッチョムくんはそう言うと、後片付けもそこそこに、家の中に隠れてしまいました。
「……で、何が大変なの?」
ニホンちゃんが不思議そうな顔でドキュソちゃんの顔を見ました。
「何を言っているのニホンちゃん!? キッチョムの野郎が花火を使っていたわ! アメリーくんとの約束違反だわ!!
あの花火でウチを攻撃して火事にするつもりなのよ!その練習に違いないわああ恐ろしい!!」
ニホンちゃんは目をむいてつっかかってくるドキュソちゃんに多少引きながら、言います。
「でも、カイコ花火をウチまで飛ばすのはどう考えても無理だし、あれくらいの花火私も年に
何度もやってるし、アメリーくんもカイコ花火までは禁止してないし、それに昨日、ちゃんと
花火やるって教えてもらったから……」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
突然叫ぶドキュソちゃん。おもわずニホンちゃんとウヨくんは耳を抑えました。
「知っていたの!? 知っていてわたしには教えてくれなかったの!? なんてことニホンちゃん
はもうキッチョムの手先なのねカイコ花火だって花火には違いないのにロケット花火と区別する
なんておかしいわいますぐキッチョムの家を攻撃するべきなのよイーグルに爆弾をしばりつけて
特攻させるのよやられる前にやれだわ氏ぬのはイヤ氏ぬのはイヤ氏ぬのはイヤ氏のはイヤ
氏ぬのはイヤ氏ぬのはイヤ氏ぬのはイヤァァァァァァァァァァァ!!」
どうやらドキュソちゃんはちょっと古いネタでトリップしてしまったようです。
ニホンちゃんは((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル状態です。
「ねえ武士……あなたドキュソちゃんと仲いいんでしょ? なんとかしてよ」
「い、嫌だよ。別に仲がいいわけじゃないよ、勝手に慕われてるだけなんだから」
ウヨくんもあまり関わりたくないようです。
二人はなおも壊れたラジカセのように同じことを繰り返すドキュソちゃんを見て、ため息をつきました。
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:03/03/10 15:07 ID:1cwTfRHP
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:03/03/10 15:27 ID:AnoGuE8F