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2003/01/30 (産経新聞朝刊)
阿南大使会見 仲介者「北に戻す」脅迫と判断し通報 ( 1/30)
【北京29日=山本秀也】中国から帰国した北朝鮮在住の日本人妻(六四)の身柄問題で、中国当局との折衝にあたってきた
中国駐在の阿南惟茂大使は二十九日、仲介役の人物に金銭の支払いを拒んだところ、この人物が「本人が北朝鮮に戻る
可能性」に言及、これを「脅迫」と判断し、中国側への通報に踏み切ったと説明した。女性の帰国を受け、同大使ら日本側は
中国外務当局に「謝意」を伝えた。
中国側への通報について、阿南大使は「ご本人の所在が中国国内にいるということ以外、分からなかったので、中国公安当局
の支援が必要と判断した」と述べ、女性の安全確保を優先した判断だった点を強調した。
金銭要求に関して、大使は仲介役の人物から「そういうもの(金銭)がないと、本人が北朝鮮に戻ってしまう可能性がある」との
発言があったと指摘。現地大使館ほか、外務省側で「これは明らかに脅迫」との判断を固めたことを明らかにした。
帰国までの経緯を総括して、大使は「従来はあまりなかったケースで時間がかかった」と述べた。今回は中国を経由した北朝鮮
在住日本人妻の帰国で中国側官憲が初めて公然と関与するものとなったが、今後の帰国に対する影響については「個々の
ケースで状況も対応も違う」として影響評価を避けた。
帰国実現を受けて、大使は「いろいろご配慮頂いてありがとう」との内容を中国側に伝えた。また、外務協議のため北京を訪れた
外務省の藪中三十二アジア大洋州局長も二十九日、中国外務省の王毅次官らとの会見で「人道的な対応を日本側として評価
している」との謝意を表明した。
(ichimai)