【中日よ】中日新聞が朝日化傾向【おまえもか】

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内なる朝鮮 第二回
脱税の金運んだ2世 組織との距離が遠すぎる

 鉄製の金庫を開けて、張仁徳<チャン・インドク>(五八)は封筒を取り出し、ソ
ファに座った男に両手で差し出した。
 受け取ったのは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)県本部の支部長。その場で
札束を数え始めた。
 一万円札が四十枚。ノルマぴったり。「助かる。これで支部の経費が払え
る」。封筒をかばんにしまい、支部長は続けた。
 「支部全体では、去年より三割減なんだ」
 昨年十月末、パチンコ経営会社の事務所。社長の張は、在日朝鮮人二世。朝鮮
総連系の芸術団の公演に合わせ、パンフレットの広告料名目で金を集めた。
 不況に加え、北朝鮮が拉致を語めた「9・17」の衝撃が、総連の集金術に影を落
としていた。
 二カ月前。張は、いつも広告料を出してくれる十数社の取引先に電話をかけ
た。「また、お願いします」
 その直後、「9・17」が襲った。張は、今回だけは支払いを催促しなかった。
「ゼロでも仕方ない」と思っていた。
 それでも取引先は、黙って金を振り込んでくれた。大半は、日本人が経営する
中小企業だ。感動して、涙が出た。
 張は長年、総連の資金集めにかかわってきた。「裏金」の運び屋をつとめたこ
とさえある。
145 :03/01/06 01:49 ID:bO3WirMx
 総連県本部の経済部長だった父親の指示で、中国地方にある二軒のパチンコ店
に毎月、足を連んだ。活動資金を生み出すため、県本部がつくった「直営店」
だ。開店資金は張の父親が、朝銀信組から借り入れた。若手活動家を社長として
現地に送り込んだ。
 時代はバブル。パチンコ業界もブームにわいた。二店の店長から札束を受け取
り、父親に渡した。
「毎月、三百万円から六百万円。脱税の金だ」と張。運び屋を続けた十年間で、
父に渡した総額は数億円になる。すべて県本部の懐に入った。
 炭鉱労働、鉄くず集め。張の父は、食べるためなら何でもやった。生活が苦し
くても総連への寄付を欠かさず、金集めのために頭を下げ続けた。
 「同胞への愛があった。在日一世の商工人の典型だった」。その背中を見て
育ったから、張はバブルに踊らなかった。
 だが、組織は違った。
 バブル崩壊で、朝銀は各地で破たんした。同胞の寄付で支えてきた朝鮮学校
は、担保に入った。
 張は、入手した一枚の不良廣権リストを見て、がくぜんとした。朝銀の乱脈融
資がずらりと並んでいた。担保のない活動家に数億円、総連系の団体幹部に百億
円超…。
 こんなことのために、父は働いてきたのか。「結果的に、組織が同胞を食い物
にした」としか思えなかった。
146 :03/01/06 01:50 ID:iC46bY73
 「脱税は悪い。だが」と張。「私欲を捨て、同胞のために働いた父と、マネー
ゲームに奔走した組織中枢。本当に罪深いのは、どちらか」
 張は金正日独裁体制に怒りを感じる。それでも父と同じように、総連や朝鮮学
校に金を出し続ける。バブル崩壊で慢性赤字に陥った組織を、見捨てられないか
らだ。
 けれど、思う。「9・17」の後でも、日本人が広告料を払ってくれたことに涙を
こぼした自分。一方で朝銀を破たんさせ、「拉致はでっち上げ」と言ってきた過
去を謝罪しない組織。その間の距離が、遠すぎる。
 張の父は六年前、八十歳で死去した。もし生きていたら言うだろう。「同胞へ
の愛をなくした組織に、金が集まるわけがない」と。張はそう信じている。(文
中仮名、敬称略)
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同胞愛
朝銀信組
 在日朝鮮人商工業者のための金融機関として1950年代に各地で設立。97年、朝
銀大阪の破たんを皮切りに、計16朝銀が破たんした。金融庁は他の金融機関と同
様の処理を進め、昨年、朝銀東京などの受け皿となるハナ信組への4000億円余の
公的資金の投入が決定。朝銀救済に充てられた総額は1兆4000億円に上る。朝鮮
総連への不正融資や北朝鮮への違法送金の疑惑も指摘されている。
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