【産経】日韓新考【連載】

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 西村佳子嬢のように最近、在韓日本女性による出版が相次いでいる。駐在
員夫人の川島淳子著『韓国美人事情』(洋泉社新書)も話題になったが、もう
一人こちらはもともとフリーのライターで在韓十年の伊東順子嬢もそうだ。

 彼女の韓国最新リポート『病としての韓国ナショナリズム』(洋泉社新書)は、
韓国人の閉鎖的な民族主義感情を日本人ではない中国人、インド人など他の
アジア人や西洋人の韓国体験を紹介することで興味深く分析した出色の内容
である。

 たとえば日本体験もある英語講師の在韓英国人が、韓国社会に疲れたあげ
くつぶやいた「日本の植民地支配があと五十年続いていれば韓国はもっとまと
もな国になっただろう」というセリフを紹介しながら、次のように書いている。

 「韓国に住む西洋人が日本びいきになるのは、なにも日本人の礼儀正しさや
先進国としての便利さだけが理由ではない。実のところは、韓国人の自民族礼
賛主義に嫌気がさし、そこにレイシズム(人種差別)のにおいを感じた西洋人た
ちが、韓国人の国民的嫌悪の対象である日本に同情・共感するといった構図が
一般的である」

 ひょうひょうとした雰囲気の、辛口で的確な硬派の批評が鋭い。その彼女もま
た、「年はいくつか」「なぜ結婚しないのか」など、韓国人お得意のおせっかいな
「人情」に疲れるときがある。日本女性の韓国独り暮らしのつらいところだ。
(ソウル 黒田勝弘)