【産経】日韓新考【連載】

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 韓国の保守系雑誌「韓国論壇」(二〇〇一年九月号)に掲載された韓昇助・高麗大名誉
教授の評論である。教科書問題に関連し韓国側の非を説いた公開の文章は、筆者(黒田)
の目にとまったかぎりではこれがほぼ唯一のものだ。

 この論文には「体面と自尊心は韓国人だけにあるのではない」「日本が軍国主義に回
帰する可能性はまったくない」「日本の再侵略を騒ぎ立て教科書歪曲闘争を展開するの
は独り相撲のようなものだ」といった指摘もある。

 韓国では「感情的対応は自制すべきだ」として「日本の良心的(進歩的? 反日的?)
勢力との連帯」を主張する声はあったが、日本に対するいわゆる歪曲修正要求そのもの
を正面から批判する主張は皆無に近かった。

 したがって韓昇助・名誉教授のような意見はあくまで少数で、まだマスコミに登場するに
はいたっていない。たとえ同じように考える人がいたとしても、「親日派」との非難を恐れ、
周りを見回して口をつぐむのが普通である。ただ韓国知識人の名誉(?)のためにあえて
紹介させてもらった。