いいことなのか、それとも悪いことなのか、判らない。
でも、多くの人間がそうであるように、おれもまた自分の生まれた国で育った。
そしてごく普通の、中流家庭に生まれつくことができた。
だから、北鮮の不幸も、南韓の苦労も知らない。
別に、知りたいとも思わない。
子供の頃は、航空自衛隊のパイロットになりたかった。
イーグルに乗るには、米空軍かイスラエル空軍かサウジアラビア空軍か航空自衛隊に入るしかないからだ。
速く、高く。空を飛ぶことは何よりもすばらしく美しい。
だが、学校を卒業する二カ月前。そんなものにはなれないって事を、住民票が教えてくれた。
だから、韓国空軍に入ったんだ。