>>422 拉致・融解は国家テロである 関川夏央
横田めぐみさんは拉致後二十五年、有本恵子さんは十九年である。こういう無法をと
それを生んだ妄想を許すことはできない。日本国政府は、拉致被害者の原状回復を、
どんな方法であれ実現すべきである
(中略)
北朝鮮には事実上内政がない。農業政策も経済政策もない。ゆえに戦争もなしに
この十年間で三百万人以上が栄養失調死させられたのである。九十年代に入って
からの数年間は国家予算さえ明示しなかった。国家予算が存在しなければ、それは
もはや国家ではない。「北朝鮮は崩壊するか」という話題が一時流行したが、北朝鮮
はすでに九十年頃崩壊していたのである。現在は、かつて国家というかりそめの外皮
に隠れて見えにくかったカルトの部分があらわになり、そういうものとして存続している。
(中略)
金日成によって米中が戦争にまきこまれたのである。「南北を分断された」とコリアン
はよく口にするが、「分断した」のは直接には金日成の「主体的」好戦性であり、コリ
アン自身である。それをいつまでも受身形でいいつづけるところに「コリア民族主義」
の宿命的な弱点がある。
(中略)
重ねていうが、拉致・融解は国家テロである。不審船による覚醒剤密輸と巡視船への
攻撃もおなじである。自国民の安全を守ることが政府の第一の責務である以上、
日本がこれらテロ行為を放置しておいて、金大中大統領の対北宥和政策に協力
できるわけはない。