■ハングル板の本棚■第2棹

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拉致・融解は国家テロである  関川夏央

横田めぐみさんは拉致後二十五年、有本恵子さんは十九年である。こういう無法をと
それを生んだ妄想を許すことはできない。日本国政府は、拉致被害者の原状回復を、
どんな方法であれ実現すべきである
(中略)
北朝鮮には事実上内政がない。農業政策も経済政策もない。ゆえに戦争もなしに
この十年間で三百万人以上が栄養失調死させられたのである。九十年代に入って
からの数年間は国家予算さえ明示しなかった。国家予算が存在しなければ、それは
もはや国家ではない。「北朝鮮は崩壊するか」という話題が一時流行したが、北朝鮮
はすでに九十年頃崩壊していたのである。現在は、かつて国家というかりそめの外皮
に隠れて見えにくかったカルトの部分があらわになり、そういうものとして存続している。
 (中略) 
金日成によって米中が戦争にまきこまれたのである。「南北を分断された」とコリアン
はよく口にするが、「分断した」のは直接には金日成の「主体的」好戦性であり、コリ
アン自身である。それをいつまでも受身形でいいつづけるところに「コリア民族主義」
の宿命的な弱点がある。
(中略)
重ねていうが、拉致・融解は国家テロである。不審船による覚醒剤密輸と巡視船への
攻撃もおなじである。自国民の安全を守ることが政府の第一の責務である以上、
日本がこれらテロ行為を放置しておいて、金大中大統領の対北宥和政策に協力
できるわけはない。
429 :02/04/14 00:24 ID:EAhT7VEM
(中略)
さらに私は、韓国の道義的責任ということを考えざるを得ないでいる。これは実は
韓国にとっては本質的課題である。金大中大統領はノーベル平和賞を受賞しながら、
北朝鮮の軍事独裁体制や対外テロ行為の継承、北朝鮮国内における人権侵害という
より人間破壊ともいうべき行為には口を閉ざしつづけている。まさに驚くべきことだ。
韓国は民族主義を標榜している。同一民族はすべての同盟国に優先する、とか、
コリアはひとつだ、とかいってきた。いまも声は低いが、そういいつづけている。
ならば北朝鮮の病は韓国の病である。北朝鮮はコリア文化に、東西冷戦という条件下
に金日成という要素を加えて成立した独特な民族主義が超閉鎖空間で異常増殖をとげ、
ついに空想的侵略主義に至ったものである。このうち過剰防衛型民族主義または
自民族中心主義段階までなら、韓国もおなじではないかと私は考えるのである。
少なくとも、北朝鮮を「わがことのように恥じ、憂う」センスなしの民族主義などあり得ない。
同一民族が戦争状態でもないのに継続的に大量栄養失調死を出しつづけているような
状態を放置する民族主義など、いうも愚かである。北朝鮮と北朝鮮人の現状を放置し、
忘れたいなら、民族主義を捨てればよい。だいたい、国内に「在日」のような「在外外国人」
集団を持たず、単一民族の同質性というところに不用意に安住しているから、現代でも
民族主義を呑気に呼号していられるのである。病としての民族主義の相対化が強く求められる。
(中略)
いまこそ日本政府の存在理由と力量とが試されていると思う。「革命思想」と「民族主義」
の犯罪を裁くのはそのつぎの段階である。そこでは韓国の「歴史認識」と「歴史への責任」
とが問われるだろう。
(終わり)