落合信彦

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199落合信彦
「アレク!死なないでおくれ!」
アテネ市内にある大学病院の集中治療室の前で涙で頬を濡らした老婆が
息子の名前を連呼していた。アレクは乗っ取られたバスに近寄り
犯人の47歳の男に猟銃で射撃されたのだ。
アレクの父、ギドは俺が大学時代に空手の道場を開いていた時の生徒で
20年前に諜報活動中に命を落した。

俺が親友の息子の不幸に少なからず動揺していると
「落合さん、せっかくですから現地で取材をしましょう!
スクープですよ!」
9日前からギリシャの取材に同伴していたSAPIO編集部の
若者が調子にのって叫んだ。
「スクープよりも大事な事がある。スクープはこれからいくらでも
手にすることが出来るが
一人の親友の友情に応えられるチャンスは一生に一度だけかもしれない」

死んだ親友の息子が死にそうだっていうのにお客さん気分で
取材なんかできるわけがない。責任感がつよいアレクのことだ
観光客が助からなければ自分を責め、一生くやむことになるはずだ。
俺は国際電話で東京都知事で親友の石原慎太郎に電話をかけ
そして事情を打ち明けた。
「私に出来ることはさせてほしい」
石原は協力を申し出た。それを聞いて私は都知事の座を
脅かし兼ねない事を依頼した。
「SAT20人をアテネに送って欲しい」
これにはさすがに石原も少し考えた。
「分かった。今すぐに送ろう!」
「大丈夫か、政府にばれたら迷惑がかかるな」
「都知事の椅子よりも友情の方が大事だからね、それにバレないように
やるさ。お前さんの一生のお願いとあっては断れないよ。」
200落合信彦:2000/11/05(日) 02:03
電話から12時間後、作戦は見事に成功した。具体的な内容は外交上の
問題に発展する恐れがありあるため、割愛させて頂く。
ただ、世界のマスコミは事件を解決したのが日本のSATだとは
思わないだろうとだけ言っておく。
石原慎太郎と俺はその挽は久しぶりに二人でワイルドターキーを
味わった。
最後に断言する。アテネオリンピックが開催される確立は
100%きっかりだ。