>>307 芝田進午・広島大学名誉教授の毎日新聞(1994年9月6日)への寄稿文の一部
「広島・長崎への原爆攻撃の目的は何だったのか。一つには戦後世界でのアメリカの覇権
確立であり、二つには『原爆の効果』を知るための無数の人間への『人体実験』だった。
だからこそ、占領後に米軍が行ったことは、第一に、原爆の惨状についての報道を禁止し、
『人体実験』についての情報を独占することだった。
第二に、史上前例のない火傷、放射能障害の治療方法を必死に工夫していた広島・長崎の
医者たちに治療方法の発表と交流を禁止するとともに、死没被爆者のケロイドの皮膚や臓器
や生存被爆者の血液やカルテを没収することだった。
第三に、日本政府をして国際赤十字からの医薬品の支援申し出を拒否させることだった。
たしかに、『実験動物』を治療するのでは『実験』にならない。そこで米軍は全力を尽く
して被爆治療を妨害したのである。
第4に、被爆者を『治療』せず『実験動物』のように観察するABCC(原爆障害調査
委員会と訳された米軍施設)を広島・長崎に設置することであった。加害者が被害者を観察
するというその目的自体が被爆者への人権蹂躙ではなかったか」