>>351 ロシア問題専門家中澤孝之
◎次期ロシア大統領はユダヤ系
−プーチン後継の知名度を上げるクレムリンの周到かつ巧妙な筋書きー
筆者はメドヴェージェフ次期大統領候補の出自に関心をもった。昨年12月10日
統一ロシア党大会でのメドヴェージェフ氏のプーチン後継決定直後に、インターネットで
調べると、実は彼もユダヤ系ロシア人であることを発見した(ロシア非公式サイトのほか、
チェチェン独立派やイスラエルの複数のサイト[一部はメドヴェージェフがユダヤ教本部を
訪問したときの写真入り]で確認したが、有力情報源のエストニアのサイト[の記事のみ]
は3月現在、削除されたまま。ロシア情報当局の工作ではないかと疑われている)。
父親はアナトーリー・アファナシエヴィッチ・メドヴェージェフ(04年に没)、母親はユーリヤ・
ヴェニアミノヴナ(旧姓シャポシニコワ[ベルマン説も]と名乗っているが、父親の実名は
アアロン・アブラモヴィッチ・メンジェリ、母親の名はツィーリャ。両親ともにユダヤ人の名前
である。ただし、パスポート(身分証明書)では、父親はロシア人で、母親はユダヤ人だという。
その息子のドミトリー氏のユダヤ名は「ダヴィド(メナヘム説も)・アアロノヴィッチ・メンジェリ」
であることが明かされた。公式には、ドミトリー氏のナショナリティはロシア人で、宗教は
ロシア正教信徒となっている。メドヴェージェフ氏は2月下旬発売の週刊誌「イトーギ」との
インタビューの中で、23歳のときに、自らの意思で、洗礼を受けたことを明らかにしている。
また、この会見の中で、母方の曽祖父たちの名前を挙げてユダヤ系であることをにおわせ、
皮革帽子製造,鍛冶屋といった職業(ユダヤ人に多い)を明言したが、ユダヤ系(自身を含め)
かどうかは明らかにしていない。
>>383 イスラエルの帰還法では、母親がユダヤ人であれば、その子供もユダヤ人と規定されている。
したがって、ロシアにユダヤ人大統領が誕生することになる。ロシアの最高ラビ、ベルル・
ラザール氏が早速、メドヴェージェフ氏を高く評価する発言をしたのも理解できる。ちなみに、
夫人のスヴェトラーナ・モイセエヴナさんもユダヤ系(いかにもロシア女性らしいふっくらした
体格の写真をインターネットで何葉か見ることができる。「将来のファーストレディ」という
キャプション付きも)で、旧姓はリンニクだった。メドヴェージェフ夫妻の息子(11)はユダヤ系と
分かるイリヤと名付けられた(作家イリヤ・エレンブルクは著名なユダヤ系)。
歴史上ロシア民族以外の出身者がロシアを統率した顕著な例は、女帝エカテリーナ2世
(ドイツ人)、スターリン(グルジア人)などがあるが、革命の父レーニンやソ連共産党書記長
だったアンドロポフにもユダヤ人の血が入っていた。ガイダル元首相代行、プリマコフ、
キリエンコ各元首相、フラトコフ前首相、そして野党指導者、ジリノフスキー自民党党首、
ヤヴリンスキー・ヤブロコ代表らも同様だ。だからユダヤ系大統領が誕生しても不思議なこと
ではない。
ただ、ロシア人の中には今なお、伝統的な反ユダヤ感情・偏見がくすぶり続けている。早くも、
ユダヤ系大統領を戴くことへの不満や嫌悪感を吐露した意見が保守系のサイトなどで散見
される。ロシア至上主義、愛国主義的風潮が高まっているだけに、ユダヤ系大統領の出現が
新たな民族問題に発展する可能性がないとは言い切れない。
なお、2月後半になってようやくロシアの主要紙「モスクワ・タムイムズ」電子版(2月20日)が
この問題を初めて論評し、イスラエル紙「ハーレッツ」(22日)が「モスクワ・タイムズ」を引用
する形で、メドヴェージェフ・ユダヤ人説を初めて取り上げた。続いて、米国AP通信社と
英国ロイターズも相次いで、ロシアの民族主義者たちがユダヤ系大統領の誕生に異議を唱え
ているとの情報を報じた。通信社電はイスラエル紙に掲載された。
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