■特集:絶望のソマリア
海賊やテロがはびこるソマリア。
一方で、分離独立を宣言した北部のソマリランドは治安が安定している。両者の命運を分けたものとは −
ソマリランドの首都ハルゲイサ。車や家畜が行き交う道路は穴だらけで、ごみは散乱し、難民キャンプもある。
だが、ここにはモガディシオでは見られないものが二つある。一つは建設ブーム。
ホテル、レストラン、ビルなどが次々に建てられている。もう一つは、通りのあちこちにある通貨交換所だ。
独自通貨のソマリランド・シリング紙幣を山と積み上げた交換所の窓口には、何の警備もなく女性が座っている。
逆に、ソマリランドでまず見られないのは暴力だ。武装解除が実現したからである。
だが、平和になっても、ソマリランドはまだ正式な国家として国際社会に認められているわけではない。
ソマリアにいれば、世界がこの国を見捨てたように感じるかもしれない。
しかし、ソマリランドの人々に言わせれば、ソマリアばかりが注目を集め、自分たちの国は忘れられているという。
ソマリランドのダヒル・ラヤル・カヒン大統領はこう訴える。
「 欧米に行くたびに聞くんです。『わが国は和平を実現しているのに国際社会の支援を受けられず、ソマリアは
あれだけ援助を受けながら、まったく成果を上げていない。これはなぜですか』と。誰も答えてくれませんよ 」
この訴えに同情的な国もあるが、総じて国際社会は、ソマリランドがソマリアの一部であり続け、
混乱収拾に一役買うことに期待しているようだ。大統領は、こうした考えに異を唱える。
「 統一ソマリアの夢は捨ててください。わが国は、良き隣人として、まともに機能している国家であればいい。
彼らも、木の下に座ってじっくり話し合えばいいんですよ 」
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0909/feature03/index.shtml ソマリランドの首都ハルゲイサの美容院で、女性たちが髪を整え、足に染料のヘナで模様を描いてもらう。
この街は平穏で安全だ。美容院のオーナーは、「ソマリアと違って、ここは平和。この国は発展しますよ」と話す。
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0909/feature03/gallery/12.shtml