『いま本当の危機が始まった』by中西輝政

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145名無しさん@お腹いっぱい。
この人の授業を受けたことがある。
この人は徹頭徹尾学者肌の人物だと感じた。

学問的立場としては英国学派、いわゆるブリティッシュスクールに属してる。
歴史や文明を重んじてて、この立場からアメリカ的政治学は嫌いっぽかった。
日本でインテリジェンスを学問として取り入れた(ちょっと大げさか)のもこの人からではないか。
まだまだ試行錯誤していたようだが、生徒にもこの方面を勉強することを勧めていたのが印象に残る。

この人の知識ははっきりいって凄かった。他の社会学系教授と比べても群を抜いていたように思う。
何気ない一言に重みがあるというか・・・ああ、こういう人を知識人っていうんだなと素直に思った。
また、あまり話したがらなかったが、欧米の有名学者はもちろん、政策決定者にいたるまで、
かなりの人脈があるように感じた。アメリカにいたとき若かりしライスにコーヒーを入れてもらったらしい。

雑誌やテレビでこの人が主張してるのを聞けば、どこかわかりやすすぎて、
それゆえ薄っぺらく聞こえることが多々あるが、
これは国民を、必要以上に煽る目的があるんじゃないかと思う。
日本人はそれほど鈍いとも言えるし、また現在の日本に対して相当の危機感を持っているのだろう。

イギリス留学時代、向こうに残るか、日本に帰るかで後者を選んだのだが、
それは日本のためになりたいという思いが強かったかららしい。
言ってることは時々「いくらなんでもそりゃ言いすぎだ」と思うことがあるが、
この人が日本を愛してることには間違いない。
この人がタカ派だとか右系筆頭だとか批判される日本の学問的、社会的土壌には正直ガッカリする。
欧米の機軸で言えば、ごく普通の保守知識人。

個人的には、政策決定に携わるより、学者のままでいてほしい人物だった。