108 :
その1:
21世紀、世界は日本化する。
ずいぶん大げさなことを言うようだが、
どうもそんな気がする。
読者の中にもこれからの話を読んで、
「そういえばそうだ、自分も外国へ行って同じように感じた」と
似たような体験をした人がたくさんいるはずである。
しかし多くの日本人はその反対を考える。
かねて「日本はだめな国で遅れた国である、外国の
ほうが日本より立派である」と教えられ、
新聞やテレビもそう言い続けているから、
日本が世界の手本になるとは考えられない。
しかし日本がだめな国であるという教えと、現実が
方々で食い違いを見せ始めている。
日本は知らず知らずのうちに世界に影響を与えている。
そのキーワードの一つは「大衆社会」である。
じつは大衆社会として世界最高のものを、日本は江戸時代からすでにつくっている。
他の国がいくら真似しても、
こういう大衆社会はすぐにはつくれない。
10年か、20年か、あるいは100年くらいの先進性が日本にある。
現在、アメリカと日本だけが大衆社会の完成したものを持っている。
他の多くの国は(先進国も途上国も)まだ階層社会である。
貴族がいて下流がいて、普通の国民の数が少ない。
ヨーロッパもアジアもアフリカもロシアも中国もそうである。
しかし最近、世界中で「普通の人」が増えつつある。
これはここ十数年に生じた、
世界史的に見てもまったく新しい事態である。
そして新しく「普通の人」に仲間入りをした人は、
日本人やアメリカ人の真似をする。
大衆社会の見本は日本とアメリカしかないのだから、おのずとそうなる。
だからアメリカと日本の商品や文化は自然に輸出が増え、
自然に世界各国から尊敬されるようになる。
無理やり押し付けているわけではない、故意にしていることでもない。
自然にそうなっていくのが面白い点である。
109 :
その2:02/01/15 01:21 ID:7lpuvzIT
日本は大衆が消費の主力だから、
大衆向けの商品がすでにたくさんある。
日本の大衆は世界で一番学問水準が高く、勤勉で真面目で、
そのうえ豊かでけっこう冗談も文化もわかる。
またお互いに助け合って、くだらないことで弁護士を使ったりせず、
企業がいい物を売り出せば、すぐに情報を交換して高くても買う。
安ければなお買う。
生活を豊かに楽しむ方法を知っている。
日本にはそうした「普通の人」が1億2000万人もいるが、
これは凄いパワーである。
1億2000万人もまとまって普通の人がいる国は実に珍しい。
アメリカの人口は2億7500万人だが、年収5万ドルから10万ドルの「普通の人」はその半分だろう。
だから人数的には日本と同じくらい。
旧ソ連も人口は3億人だが、普通の人の数はしれている。中国もインドもそうである。
世界史的な大潮流から見れば、
21世紀の世界は日本やアメリカのように中流・中産階級が中心の、
高学歴で道徳的にもきちんとしていて、勤勉で家族仲良く暮らすような「普通の人たち」の世界になっていく。
世界を見渡すと、大多数の人たちがそうなりたがっている。
階層社会といっても、上流はごく僅かなのだから、
ほとんどは上にあがって「中流」になりたい下層の人たちばかりで、
そういう人たちのための品物やサービスは、
アメリカと日本がすでに開発済みである。新しいものも開発中である。
だから、世界中が日本とアメリカの後ろをついてくることになる。
だから私たち日本人は、普通に暮らしていればいいのである。
そう特別なことをしなくても、
今まで通り「これは楽しいぞ、これは美味いぞ」と暮らしていると、
それがそのまま輸出産業になる。
しかもその生活を見て、
世界中の人が日本に憧れて旅行に来たり、留学したくなるのである。
あるいは逆に、私たちが老後外国へ行って、日本人村をつくって過ごすと大歓迎され、
「日本ではどのようにするのですか? 教えてください」とみんなが集まってきて真似をする。
嘘のように幸せな老後の生活が待っていると思う。
私は今、この原稿をバンコック空港の待合室で校正しているが、
備えつけの新聞にこの話とピッタリの記事が載っていた。
タイのスアン・ドウシット大学が99年11月2日から23日まで、バンコック周辺のタイ人2800人を対象に行った各国を比較するアンケート調査によると、
最も美しい女性≠ニいう質問にタイ人の25%が日本人と答え、これが第1位だった。
第2位がイギリスで18%、第3位がアメリカで16%となっている。
ハンサムな男性≠フ第1位はイギリスで23%、
第2位は日本で19%、第3位はイタリアで17%である。
この結果をかねて予想したとおりと答える日本人は少ないと思うが、
しかし今はこれが現実なのだから、
我々は自らの「日本観」の入れ替えをしなくてはならない。
それから、どうして日本女性がアジアの人にとってそんなに魅力的なのかの理由探しは、
楽しい話題だから、読者各自でおおいにやっていただきたい。なんならPHPのホームページに投稿してください。
私もいくつか思いつく理由がある。
何でもそうだが、あとからなら理由はいくつも出てくるものである。
110 :
その3:02/01/15 01:22 ID:7lpuvzIT
だから早くポケットの中の1万円札、
というか日本の本当の実力に気がついたほうがいい。
日本の普通の若い人がしていることが、今や人工衛星を通してアジア中、または世界中に降り注いでいる。
それを見たアジアの若い人がその真似をして、日本風の普通の人になることを目指している。
都会へ出て給料を取るようになり、「自分はどうやって暮らせばいいか?」と迷った時は、
テレビで見た日本の若者を何から何までそっくり真似するのである。
台湾では「哈日族」が大発生している。
哈は好きという意味だから、日本大好き族である。
もしかしたら口に合う≠ニいう意味かと想像しているが、
ともかく日本の流行は何でも取り入れてしまう。
大人もそうである。数年前から台北の超高級マンションでは、座敷と床の間をつけるのが流行っていた。
九九年秋の大震災のとき、日本は国内用のプレハブ住宅を直ちに救難応急住宅として贈ったが、
それには当然のことながら畳の座敷がついていた。
それを見て台湾の人は、超高級住宅を贈られたと喜んだそうである。
台湾では努力・勤勉・正直・約束厳守・品行方正などの美徳を総称して日本精神≠ニ呼び、
その反対は中国精神≠ニ呼んでいると、
これは李登輝総統が笑いながら話されたことだが、
そこまで尊敬されると、当方は緊張して返答に窮したものである。
若い女性は日本の若い女性がポックリのような厚底サンダルを履いているのを見ると、
自分も履かずにいられなくなって、
アジア中でたくさんの若い女性がポックリを履く時代になった。
赤道直下の道路は目玉焼きができるくらいに焼けているから、そこで使用するポックリの材料は日本と同じでは具合が悪いかも知れない。
そういうとき誰が新しい化学合成物資を発明するかというと、
それは日本である。
軽くて丈夫で耐熱性があって、適度の弾力があって、しかも安い材質を日本がつくり、さらにその材料の別な特徴を活かした新しいファッションが渋谷に誕生する?
……と想像が広がるが、
こういう循環が成立するためには、ハイテクと豊かな若者の大群と大都市と、それからファッションリーダー国としての評判があらかじめ必要である。
それは日本とアメリカにしかない。
したがって世界は、アメリカ化と同時に日本化もするのである。
実はこのように世界が日本化する現象は、
今に始まったことではなく、十数年前からあった。
アジアの人がアメリカへ留学した時、フィリピン人、台湾人、タイ人、マレーシア人、インドネシア人、ベトナム人、
みんな心細いので、なんとか共通の話題を探し合うとき、
『ドラえもん』や『おしん』を話題にすると、ぴったり話が合った。
彼らが日本に来ても同じこと。飲み屋で隣の女性とお近づきになりたいとき、
『セーラームーン』や『アタックNO・1』を持ち出すと、話がぴったり合う。池田理代子でも良い。
このように「マンガ族」「アニメ族」「テレビゲーム族」「少年ジャンプ族」、あるいは「手塚治虫族」「松本零士族」といった人種が、国家とは関係なく世界中に発生している。
今その中心になっているのは日本とアメリカである。
ハリウッド映画は世界市場の七〜八割を押さえているが、
日本のアニメとコミックとテレビゲームは世界中を押さえている。
この日本のアニメやコミックを見ている他国の若者たちは、
自然と心のあり方が日本人に似てくる。
『ポケットモンスター』のピカチュウがアメリカの子供に絶大な人気を博しているが、
ピカチュウは「ピカチュウ」の一言しか話さない。
すなわち言葉を話さなくても何でも通じる「以心伝心」の世界の素晴らしさを、
あのマンガは教えている。
今のアメリカの子供達が成人するころ、楽しく想像すれば、
アメリカは弁護士社会をやめて、
日本的以心伝心の社会に移るのではないか。
マンガは日本の心を着実に世界に広げている。
111 :
その4:02/01/15 01:24 ID:7lpuvzIT
世界中がお互いに影響し合って、
仕草や習慣などがだんだん一緒になってくる。
ますますそうなっていく。
これは文化・生活面におけるグローバル・スタンダードの発生で、
政治や経済と違って良い悪いの話ではない。
強い弱いの話でも、
優劣の話でもない。
自然と広がっていくのである。
そして、日本も世界へ発信している。
文化交流≠ニは誰でも言うが、
多くの人は文化は欧米から後進国に向かって流れるものだと思っている。
あるいは文化には高低があって、
水が流れるように高い方から低い方へ移ると思っている。
だからこそ日本文化や地方文化が伝播すると、
鬼の首をとったように喜ぶが、
そういう人は文化直流℃蜍`者で、
その考えは間違っている。
文化には本来高低がないのであって、
人間性の自然にしたがって交流するものだとわからないと、
21世紀はわからない。
それが「文化相対主義」である。
112 :
その5:02/01/15 01:30 ID:7lpuvzIT
少子高齢化が問題だと言うが、
これからは世界中がシルバー社会になっていくのだから、
それなら日本が先進国である。
少子化もいずれは世界中がそうなっていくのだから、
それも日本が先進国である。
それから世界中が平和を目指し、
経済発展を目指すならば、
それも日本は済んでいることだから先進国。
あるいは巨大都市化。
農村を出て都市に住むということが世界中に普及すれば、
これも日本は他国より先に済んでいる。
あるいは教育を普及させること。
これも日本は他国よりずっと先にいっている。
あるいは政治と宗教を分離する。
これは織田信長のころにもう済んでいる。
今、アメリカがようやくそれをやっている。
それから政治と軍隊を分離するのは、
日本は平安時代にもう済んでいる。
宗軍分離の問題もある。
アメリカでは陸軍士官学校にも海軍兵学校にも
キリスト教会がある。
しかし日本の自衛隊に宗教施設はない。
あるいはアメリカ人が勤勉になって、
夏休みに長期休暇を取らなくなった。
一週間以上取っていると恥ずかしくなり、
忙しいのが自慢になってきた。
(日本は反対の方向に進んでいるが……)。
あるいは日本経済は省エネにおいて
世界の模範中の模範である。
GNPの世界シェアは15%もあるのに、
エネルギーは世界の5%しか使わない。
それに対してアメリカのGNPは25%なのに、
世界中のエネルギーの50%も使っている。
浪費の極致。
環境会議の開催などアメリカはとても言えた柄ではない。
めちゃくちゃな数字で傍若無人である。
これだけでも日本の道義力は世界最高である。
日本は世界のために、
このことをアメリカに対して言わねばならない。
この調子で書いていくと一冊あっという間に書けてしまうから、
とりあえずあと一つで区切りをつけるが、
女尊男卑もある。
日本は男女同権が遅れているなどは冗談ではない。
ほんの一例だが、女性の天皇はいるが、
アメリカにはまだ女性の大統領はいない。
明治憲法以来、天皇は男性でなければいけないと決まっているが、
これは欧米の影響により後退したのである。
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