544 :
ルビー・D ◆T7sXN1iIiI :
『蘇小小墓』 by李賀
幽蘭(ゆうらん)の露
啼(な)ける眼の如し
物の同心を結ぶ無く
煙花は翦(き)るに堪えず
草は茵(しとね)の如く
松は蓋(かさ)の如し
風を裳(しょう)と為(な)し
水を珮(はい)と為す
油壁(ゆうへき)の車
夕べごとに相待つ
冷ややかなる翠(あお)き燭(ともしび)
光彩を労(わずら)わす
西陵の下(もと)
風 雨を吹く
545 :
ルビー・D ◆T7sXN1iIiI :2013/06/22(土) 18:47:14.92 ID:FVLUNUwd
どうでしょうねえ
ひっそり咲いた蘭に
まるで涙がこぼれたような 一粒の露
永遠の愛を交わすことなく
愛しい気持ちを絶つこともなかった
いまや 敷物のように 草は足元に広がり
傘のように 松は頭上に広がる
翻る風があなたの衣裳
走る水があなたの帯玉
漆塗りの輿(こし)に乗り
毎夕 恋しい人と待ち合わせたのは 遠い日のこと
冷たく青い鬼火が ふらふら彷徨う
いつか西陵で変わらぬ愛を誓おうとしたものを
無情の風が 二人の涙を吹き散らす