1 :
あー:
博打の子の年若きが、目鼻一所にとり寄せたるやうにて、世の人にも似ぬありけり。二人の親、これいかにして世にあらせんずると思ひてありけるところに、長者の家に
かしづく女のありけるに、顔よからん聟(むこ)とらんと、母の求めけるを伝え聞きて、「天の下の顔よしと言ふ、『むこにならん』とのたまふ」と言ひければ、長者悦びて、
「むこにとらん」とて、日をとりて契りてけり。さて、夜々行くに、昼居るべきほどになりぬ。いかがせんと思ひめぐらして、博打一人、
長者の家の天井に上りて、二人寝たる上の天井をひしひしと踏み鳴らして、いかめしく恐ろしげなる声にて、「天の下の顔よし」と呼ぶ。家の内の者ども、
「いかなることぞ」と聞き惑ふ。婿、いみじく怖ぢて、「おのれをこそ、世の人、『天の下の顔よし』と言ふと聞け。いかなることならん」と言ふに、三度まで呼べば、答へつ
「これはいかに答へつるぞ」と言へば、「心にもあらで、答へつるなり」と言ふ。鬼の言ふやう、「この家の女は、わが領じて3年になりぬるを、
汝、いかに思ひて、かくは通ふぞ」と言ふ。「さる御事とも知らで、通り候ひつるなり。ただ御助け候へ」と言へば、鬼、「いといと憎きことなり。
一ことして帰らん。汝、命とかたちといづれか惜しき」と言ふ。婿、「いかが答ふべき」と言ふに、舅・姑、「なにぞの御かたちぞ。命だにおはせば。『ただ、かたちを』とのたまへ」
と言へば、教へのごとく言ふに、鬼、「さらば、吸う、吸う」と言う時に、婿、顔をかかへて、「あら、あら」と言ひて、臥しまどぶ。鬼はあよび帰りぬ。
語注
博打・・・博打打ち
天の下・・・天下
日をとりて・・・吉日をえらんで
昼居るべきほど・・・昼間も同居しなければならない時期
領じて・・・自分のものとして
一ことして・・・仕返しを一つして
まろぶ・・・転がる
あよび・・・足音を高くたてて
2 :
名無氏物語:2008/12/19(金) 23:58:42 ID:w9u8jfz5
3 :
名無氏物語:
>>1 こんなスレッドを立てても誰も答えませんよ・・・
”このスレッドの削除依頼を出した上で”質問スレに質問してください・・・
削除依頼を出さないで再依頼してもマルチポストになるので誰も回答はしないと思います・・・
以上