1 :
名無しさん:
シラガのおなかの開いた発言がいちいち痛い子のスレですぅ
みんなから嫌われてる禁忌のドールですぅ
2 :
名無しさん:2009/06/26(金) 16:59:25 ID:???
ヴィチ銀氏根やピーチピットも早く水銀燈脱落させろよローゼン読んでて水銀燈が出てくるとゴキブリと間違えるんがなんとかならんのか
3 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:03:07 ID:???
水銀燈の画像って嘘ついて本当はグロ画像はるお仕事ありませんか?
4 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:04:47 ID:???
水銀燈嫌われ過ぎワロタwwwwwwwww
5 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:05:42 ID:???
>>3 じゃあ俺は水銀燈の画像に毛虫の画像を張り付けたり水銀燈の頭の上にうんちの画像を張り付けたりする仕事がいいな
6 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:05:53 ID:???
7 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:07:22 ID:???
8 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:07:27 ID:???
人
ノ⌒ 丿
_/ ::(
/ :::::::\
( :::::::;;;;;;;)
>>5それならもうやってる人がいるぞ
\_―― ̄ ̄::::::::::\
ノ ̄ ::::::::::::::::::::::)
( ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;人
/ ̄――――― ̄ ̄::::::::\
( :::::::::::::::::::::::::::::::::)
\__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
/ ′ | ', ト、 \ ヾヽ
/ | | l l| '. ヽ l:::ト、
. / | l| | , | | リ l| l |:::ト \
/ / | |l | | ゙ 、 /jノ | _厶-┼ハ | |:::| l\\
′/ | | || ヽ \ ′斗≦/__,,.. レ゙ l l |:::| l ヽ:ヽ
l l| l |_」 L,,..≧ \ { 才ヘヽ 〕/ノl ' |:::| | ',::',
| ハ | '、 イ´ヽ> 、弋 ヽ  ̄"''´ イ / |:::| l }:::|
|{::∧| \ l<⊥ゝ '" / /| |:::| l ノノ
/.::/ | \丶 "´ ヽ / r1 `´ l
. /.::/ ∧ l | ト > __,, 厶| | |
\{::::{ / ヽ Y |¬ ー= ´ 彡 ' | | | /
: . \∨ト、 \ \ト--\ ´` / l | // /
: : : . \|: .\ |` ‐- \ /` ┌‐-、 ィ l | |/. :/ /. : :
9 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:08:38 ID:???
>>6-7 おいおいアンチと荒らしを区別しろよスレタイ見ろ馬鹿どもがスレ違いだからあっち行け
まぁ水銀燈叩いてくれるというなら大歓迎だw
10 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:09:47 ID:???
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/09(木) 13:59:53.91 ID:BSbskPXtO
水銀燈ちゃんに足コキしてもらうの気持ちいい
11 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:11:42 ID:???
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/09(木) 14:04:13.90 ID:iX88Is2l0
〃///ヾ i ll i ! l i l | l ヽ ヽ
. i:|//i::i 》 /| li !メ l l ! i | ', ',
〆i !:L〃 i ', | ! | l ト, ! / l ! i } !
// / |:|'" i 斗弋T、‐- ', | ヽ ! /i /! /! ! l. } |
/ i |:l ', i弋ゝ‐-Y=、丶` ',.| /_.!ム、/_l / / ハ !
. | !:l ∧. ! ヒ_q )_ヽ レ' レ' 7 メ .イ / l !
. l |:|. ,ヘヘ ,r‐‐tァ/ /| ,/ レ
>>41もしかしたらきらきーがアリスな可能性もあるんだよなぁ
. l l」 i ヽゝ:::::::::::.. ゞ゚ノ//ノ |,イどのドールにも着替えられる・・・・それこそがアリスだと・・・
! ト、 ! .:::::..´ソ" l:」 ,-'´ま、私は雪華綺晶の価値観は間違ってはいないと思うけどね
i |. 丶 、_ ,、_ ´ /', , //
>>42その「水銀燈ちゃん」っていうのはあたしじゃなくてあなたの頭の中で
. ', ト、 ゝ . ‐/ フ_,, ィ ´ !,〃 ,..-'´:∠_勝手に作られた「ぼくの水銀燈ちゃん」であってあたしじゃないからちんぽもげろでありますわぁ〜
. ', |::::`:‐-.、`> . _ / /l´ ゙!i lイ/:::::::::::::-= 二、_
、___ヘ !::::::;ィ;==,‐、 ;_/ / ! !| |::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::ff《ヘ i::≪::::::〃!,ィ´`‐-ヾ、l_/_il l、::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::ゞ》 ヘ. ト、::::゙彳/ゞ/r‐---、i/´::::| /:::\:::::::::::::::::::::::::::
12 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:12:42 ID:???
>>10のコピペの水俣患者期もいw
コイツキモチワリぃw現実と妄想の区別ついてないよw他のドールの信者はみんなローゼンについて議論してるのに水銀燈オタだけキャラ萌え・・・
んでそれを注意すると逆切れして他ドール叩く・・・コイツら本当クソだな
癌だよ癌 水銀燈と水銀燈好きな人はローゼンメイデンにとっての癌細胞
13 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:13:49 ID:???
YJに復帰したとき水銀燈メッチャ叩かれてたな
みんな桃種バンザイで喜んでたのに水銀燈だけ叩かれてたってことはよっぽど嫌われてるってことだろ
14 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:15:09 ID:???
死ね銀燈
略して死銀燈
15 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:25:33 ID:???
16 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:28:58 ID:???
、:
ぼくもみんな好きですよ
でも銀厨がいるとそういう善良なファンの
ハ居心地が悪くなるんで、ローゼンスレの平和を守るために
仕方なくアンチをやっています
, ローゼンに出てくるキャラは全員愛しています が
アンチ活動は必ず誰かがやらないとダメなのです
イ| その汚れ仕事を私は自ら進んでやってるんです
何故なら、私こそ真のローゼンメイデンのファンだからです
/
17 :
名無しさん:2009/06/26(金) 17:32:58 ID:???
水銀燈アンチは正義
水銀燈崇拝は悪
18 :
W☆牛乳神社 ◆119E/Gb8FU :2009/06/26(金) 18:37:56 ID:BGu3JxpK
うぇーあたしは水銀ちゃんが大好きです。てめえら死ね!!!!!!!!11111
19 :
◆UGEGAU.aHo :2009/06/26(金) 18:45:01 ID:DTxZFc2p
____∧∧
〜' ____(,,゚Д゚)<なるほど。失業神社か
UU U U
20 :
名無しさん:2009/06/26(金) 19:48:35 ID:???
test
21 :
名無しさん:2009/06/26(金) 19:51:20 ID:???
test
test
test
test
test
test
test
test
22 :
名無しさん:2009/06/26(金) 19:53:06 ID:???
test
test
test
test
test
test
test
test
23 :
ネオ紅雀団@特攻神風:2009/06/26(金) 23:37:05 ID:JPXHb6dn
24 :
名無しさん:2009/06/26(金) 23:44:20 ID:???
25 :
ネオ紅雀団@特攻神風:2009/06/26(金) 23:45:48 ID:JPXHb6dn
水銀燈はアニメで3回も死に党員の監督のおかげで蘇った無様なドール
潔く死んでいればいいものをあんなヘタレなカスドール見てるといらいらするわ
潔く切腹しろ!あ、腹ねーから無理かw
26 :
W☆牛乳神社 ◆119E/Gb8FU :2009/06/26(金) 23:47:27 ID:4DRpi49/
スネオぶっ殺す!来いノビタ!
27 :
ネオ紅雀団@特攻神風:2009/06/26(金) 23:48:19 ID:JPXHb6dn
___
く/',二二ヽ> やれるもんならやってみやがれですぅ!
|l |ノノイハ))
|l |リ゚∀゚ノl| バリバリバリバリバリ ・,';*;∵; ζ。
ノl/l_介」 Lr○ュ"_ l_ ___,.,;:''''""`'';;;...,, - ̄‐― ∵~'ハ∴∵;:;
ト--l∪r=tl[((三三((三((=(;;'', '',.:;,,,. '" .,. .,,..; "'`,.,, ‐― i#卯ρ。;,;。∵ _ _ _
ヒ[冊冊冊ツヽ ̄ ̄!! ̄; ̄ll ̄||'':;:,.. ,...;:''" - ̄‐―. ."-|l〉l. Д ノl/ ヽ
ミく二二二〉ミ '"'⌒`~"'" ''|!/'i)卯iつゝ '''"ー"``
とl'y /x lヽ
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く/',二二ヽ>
|l |ノノイハ))
|l |リ゚∀゚ノl| バリバリバリバリバリ
ノl/l_介」 Lr○ュ"_ l_ ___,.,;:''''""`'';;;...,, - ̄‐― ・,';*;∵; ζ。
ト--l∪r=tl[((三三((三((=(;;'', '',.:;,,,. '" .,. .,,..; "'`,.,, ‐― ∵~'ハ∴∵;:;
ヒ[冊冊冊ツヽ ̄ ̄!! ̄; ̄ll ̄||'':;:,.. ,...;:''" - ̄‐―. i#卯ρ;:;。;,;∵
ミく二二二〉ミ ⊂'⌒m|l〉l. p ゚ノlm.
28 :
名無しさん:2009/06/26(金) 23:48:49 ID:???
29 :
ネオ紅雀団@特攻神風:2009/06/26(金) 23:51:27 ID:JPXHb6dn
アンチスレ潰そうと党員必死だなw潰されてもパート化するだけだけどなw
30 :
名無しさん:2009/06/26(金) 23:51:53 ID:???
31 :
名無しさん:2009/06/27(土) 00:17:32 ID:???
なぜこの板なんだ?
「わ…注文までしたのに帰っちゃうの」
診療所の扉を、親指でくいくいと示す。
その言葉は嫌味というものだろう。
「ああ。誰かさんのキック付きでな」
次、目覚めると、観鈴がいた場所に晴子がいた。
笑おうとして、黙り込んでしまう。
それは、初めて聞く遠野の叫び。
ぱんっ!
敵がいなくなったのに、女の子はまだ泣きそうだ。
懐かしくてせつない、遠い何か…。
受話器を戻し、小さく溜息をつく。
「えっとぉ…往人くんは女の子を探してるんだよねぇ?」
彼女が声をあげるが、男はとまらない。
ヨタヨタとおぼつかない足取りで前に進み、ポテリと倒れる。
「やったーーーっ、おきたーーーっ」
「どしたの、美凪ぃ」
(本当にマジなのか…?)
こうしていても、汗がだらだらと流れ落ちてくる。
俺はバス停のベンチに腰を下ろす。
荷物を肩に掛けて、ベンチから立ち上がる。
僕は彼女の元に近づく。
「うう〜、いじわるぅ」
「佳乃が…いるのか?」
「ところで腹は空いていないか?」
「ああ、入れる」
「待ってぇや…」
「…みちる…喜んでくれましたよね」
「さてと。これからどうするのか、最後はおまえ自身が決めろよ」
「それで、うちの人生は輝いとったと思わせてや」
「いいこと思いついた」
振り返ることもあるけれど…。
空を見上げながら、俺は答えた。
その背中が見えなくなってからも、俺はしばらく立ち尽くしていた。
夏の午後。
俺は、それが幸せな光景だったと信じたい。
「往人さん、なにしてるの」
紙パックのジュースを受け取る。
私は、毎晩のように星の砂を持って、駅前のベンチから星空を眺めた。
(なんなんだ、さっきから…)
目が覚めたら、撫でてもらおう。
あくまで勘でしかなかった。
「あほで甲斐性なしやったうちに教えてくれたやんか…」
「景色がにこにこして見えるねぇ」
「なんだよ、その、うわ、本当に食べちゃってるっ、ていう目はよ…」
少女を胸の中におさめながら、軽くその頬を叩いた。
というか、巾着袋をここに持ってきた記憶がない。
彼女は、去ったままもどってこない。
「ちょい待ち」
頂上の神社にたどり着くと、思わず伸びをした。
「あんた、そんなラブラブファンシーな格好のまま行くつもりか?」
景色が動いてゆく。
きこ…
これ以上登っても、意味がなさそうだった。
「ふむふむ、ふむ…そうか…」
星の砂。みちるの願った幸せ。
廊下から声が聞こえたような気がするが、気にしないでおこう…。
「かわいいな」
その背中をため息混じりに見送る。
「君の身に何が起こるのか、私も保証できない」
でも、僕はそばにいてはいけない。
少なくとも、俺が知る『みちる』はあの場にいなかった。
人形は後ろポケットにある。
「観鈴は…うちの子、神尾の子にする」
「って、話しがずれてるっ」
「それじゃ、始めるね」
これが、俺にできることだった。
診療所の前に、黄金色の日溜まりができている。
「だってねだってね、これって当たるともう一本なんだよ〜」
恐ろしい町だった。
「ああ。だから、たびたび遠野さんから母上の健康については相談を受けていたんだ」
朝がやってくる。
何も言い返せなかった。
俺は思う。
「馬鹿っ、つまらない意地を張るな」
そこに星たちの光はなくて、陽の光に透き通る蒼だけがあった。
今のままずっと。
ゆっくりと遠野がこちらを向く。
身体の芯が妙に疲れている。
「よし。ほな、用意するわ」
陽射しにきらきらと輝く水面が、瞬きをするたびにその姿を変えて、とても綺麗だった。
足が痺れたみたいになってる、と。
「子供が仰山おる」
「お魚、すくいたいな」
「嫌がらせみたいなもんやろ?」
白衣の上の静かな瞳は、怒っているようにも、笑っているようにも見えた。
俺のストローから、小さなシャボン玉が生まれ、天に昇っていく。
小瓶に詰まったみちるの想いを慈しむように。
走ってくる。
ご飯を食べた後もずっとふたりでいた。
…悲しいことだから…
「…佳乃」
言われたら言われたで、やっぱり腹立たしかった。
聖の視線は、俺の首についた痣に注がれていた。
それは、ゆっくりと渦を巻いて…。
「空耳だろ」
「観鈴…きたらあかんっ!」
俺は観鈴の足もとに向けて発砲する。
その先が聞き取れなかった。
ポケットから取り出す。
できるだけ人の多い場所を探して、芸を行おう。
「ばいばーーーい」
「んにに…おいひー」
地面に座り込んでいた。
「次の用事はな、金を稼ぐことなんだ」
剥げかけた白ペンキの壁で、光が踊っている。
そんな錯覚を覚える光景だった。
…がさがさがさ…
「それぐらいしか、取り柄ないし」
彼女の中に、新たな知識が加わったようだ。
「うん…たのしみ」
ぱたぱたと足音だけを残して、みちるは走り去っていった。
夜毎の、賑やかな宴会もなくなった。
箸を置いて、俺のことをまじまじと見る。
でも、すぐ立ちどまっていた。
「これはもう、私に治療できる範疇ではない、ということだ」
「かもしれないですね…」
「そう…とてもステキなお名前ね」
ふと、先ほどぶつかった爺さんのことを思いだしたからだ。
「…少し激しいけど」
「あるな」
「ばいばい、かみやん。気をつけて帰ってね」
先手必勝だった。
夜。
どがーーーーーーーーんっっ!
美しい笑顔を絶やすことのない母。
「曲がるでー! 一緒に体重傾けるんやでー!」
また鬱陶しい…。
何かを口にくわえている。
「なんだろうねぇ」
女の子を追う
「ところで、俺の服は?」
「観鈴、うちとおったら幸せなはずや…」
夜の闇でしか輝くことの出来ない星が…。
女の子が頭を上げる。
「セミ…みんみん鳴いてる」
俺が手を放すと、犬はよたよたとおぼつかない足取りで婦人の元に歩いてゆく。が…
「代わり映えしないけどいいよね」
「…腹減ったな」
全く不意に、圧迫感が消えた。
腹減った。
すぐ仕舞った。
古いものだが、傷ひとつなく、丁寧な扱いを受けてきたものだった。
錆びついた鍵だった。
よくわからないけど感心顔の妹。
「これさえあれば、とりあえず明日から米だけは食える」
「帰ってきたよ、お母さん」
「ぼむ?」
「商店街まで、一緒に行かないのか」
「わたしも、もう寝よっかな」
学年を示すらしいしるしは、何もない。
女が彼女をいじめている。
立ち上がる。
不安を、少しでも減らすように。ぎゅっと体を寄せる。
俺は一度も、観鈴の元を離れなかった。
「便利だあっ」
誰も口を開かない。
「そうだな。綺麗だ」
なぜかべらんめい口調だった。
「朝飯はいいから、寝てろ」
男と一緒にいるだけで、笑顔に戻っていた。
「今までわたしだった人たちが、誰もできなかったこと」
「え? 今、何時?」
それで一番の思い出にするわ…
打ち水を終えた店主が、店の中へと入っていく。
白い物体が一気に迫ってきた。
風が向かいからふいてくる。
「あれっ。ポテト?」
しゅぱーん!!
「はぁ…はぁっ」
自分を納得させると、当面の目的地へと急ぐ。
「行くぞ」
子供の頃からずっと聞かされていた、詩のような文句。
独り言のように、彼女が喋っている。
駅での生活二日目の朝を迎えた。
俺は、謎の生物にやさしく手招きした。
自分をここから消し去ってまで、彼女のそばに居続けた彼のことを知らないだろう。
収穫がなかったことは、歩き方を見ればわかった。
俺はその頭を鷲掴みにする。
出して、指を開いてみせる。
「ひどなるようやったら、病院連れてったってや」
人形芸を見せてやる
「仕事中にいくらでも寝る時間はある」
「ばいばいー」
観鈴といれば、自分もまた苦しむことになると。
遊ぶ
いちおうは反省しているようである。
いちおう、確認をとってみる。
心地良い…。
「…だからおまえは、現実に戻らなければならない」
話し終えても、観鈴はまだ不安げだった。
久々に手に戻った気がする。
「ちょうど、この子のように」
扉の奥から、遠野の母親。優しげな声。
「あたりまえだよ。みちるは暗いのなんてへっちゃらだもん」
聞こえていないようだった。
「それじゃあ、どうしてお人形なんか持ち歩いてるの〜?」
「…遅いな」
すぐに眠りは訪れた。
「おわっ…」
必死に母親が抱きしめ続ける。
肩に乗せてもらう。
俺が目指している先。
光と影を交互に感じながら、俺は流れる雲に視線を送り続ける。
「ああ、よろしい」
「何枚持ち歩いてるんだ、おまえはっ」
眩しい。
戦いは、男の負けのようだった。
「おまえはいいのか?」
母親の背中越しに夢見た世界を目指しているだけなのかもしれない…。
どさっ!
朝っぱらから、遠野さんのがっくりが入った。
「ほら、飲み」
できないはずがないんだ、と。
観鈴が目を閉じる。
「…もしかして、飛べないの?」
まあ、何かの役に立つかも知れない…。
のどに熱いものがこみあげてくる…
綺麗な唇がストローの端に寄せられる。
俺は視線を外した。
「…そんなことどーでもいいのっ」
「ずっと、ひとりだけど…がんばらないとね」
少女は拗ねたように口を尖らせて犬に愚痴る。
部屋に行きかけ、振り返った。
がらがらがら…
「夏だから開放的な気分に浸っているのかと思ってな」
「ま、肝は座っとるようやな。そのへんは嫌いやないわ」
首筋に残った暑気が、名残を惜しみながら風にさらわれていく。
「疲れたのか?」
「往人さんとがんばったことが無駄になるから…」
「…うそやろ?」
俺はなにひとつできなかった。
やわらかくて、歩きにくかった。
彼女が現れて、また別のものを男に渡した。
残念そうにしまう。
誰か人が登ってくる。
まるで、ゆるぐことのない大切な心のような気がして…。
遠野の横から、みちるが人形を見つめながら言う。
「うむ…」
「お母さんが、納屋に突っ込んだだけだから」
さわやかに返してきた。
先に入れと、促す。
「うちら、なんのために頑張ってきたんや…」
「誰が誘拐魔だっ」
そして、微笑みあった。
聖が茶をいれる、こぽこぽという音。
まだ男はいた。
「調子、悪いのか?」
「こっちにも、ない…」
ごそごそごそごそごそ…
この町に流れ着いた理由。
「わたし、それでわかった」
ぐいっと俺の腕を引っ張り、姉の前に据える。
実際このまま床に入ったとしても、寝付きは最悪だろう。
取りあえず、橋の向こう側まで歩かせる。
観鈴の皿には、俺の半分しか盛られていなかった。
体中が、一気に重力から解放されたかのような軽さ。
診察室を出ていこうとした佳乃に、聖が声をかけた。
父がいなくなって悲しむ母が、『みちる』と私を呼ぶときだけは微笑んでくれたので、それでも良かった。
空を見上げながら、遠野が俺の名を呼んだ。
「待てこらっ! 人の話を…」
「だろ。だから、夏はいつか終わる」
風音の代役は、遠いヒグラシの声。
「う、うっさいなぁ。次はちゃんとできるんだからっ」
朝食のおみそ汁の匂い。
そのときの母の声が、今も耳に残って離れない。
遠野がそれを受け取る。
「年下でないと嫌だ」
「そしてね、神様にお願いするの。かわいい妹が生まれてきますようにって」
そのときの母の声が、今も耳に残って離れない。
俺は、さっき母親と交わした言葉を思い出しながら、冗談っぽく言った。
「観鈴…きたらあかんっ!」
口に強引に酒を注がれたのと、鼻に一升瓶の口を突っ込まれただけで済んだ。
「診療所まであとちょっとだったのに、かわいそうだねぇ」
「…おかあさん」
実際このまま床に入ったとしても、寝付きは最悪だろう。
「ええやん。こうしたら大きなるんやで」
踵を返し、歩き出した。
「ね、美凪」
踵を返し、歩き出した。
「ね、美凪」
疲れたし、暑い。
二人と一匹。
観鈴が苦しみ始めた。
どこまでも道が伸びて、その地面に降りそそぐ日差し。
ジュースを俺に差し出した。
どこまでも道が伸びて、その地面に降りそそぐ日差し。
食後は当然、聖の淹れた緑茶だった。
彼女はひとりでせっせと札で遊んでいる。
「父が片づけ忘れたメスを、自分の手首に押し当てていた」
「んなっ…! なに言いやがるこのガキっ!」
思わず声に出る。
すかさず、先程の方向に視線をやる。
言いながら、ぐっ、と二の腕に力こぶをつくってみせた。
実際この町に長く住んでいる人間からの情報だ。
その中、堂々と男は戻ってきた。
逃げなければ。
「倒れた時のこと、ちゃんと覚えてるか?」
安らぎを憶える優しい風が吹く。
試してみる価値はあるのではないだろうか。
結構、いい感じで稼ぐことができるかもしれない。
「えっと、1番はダメなんだけど…」
みすずはどうすれば、もう一度笑ってくれるんだろう?
「ん…? なんか、跳ねてもたなぁ」
遠野の安らかな声が、俺を繋ぎ止める。
自分がどの方向からやってきたかさえ、わからなくなってしまっていた。
瞳を伏せ、かなり本気で困っている。
「歩きながらでいいだろ。家に帰ろう」
「教えてほしいっ?」
天井を仰ぐ。
私の願いを、神様が叶えてくれたのだ。
「向こういっても、このジュース、探して買ったってや」
「あぐ…ごひひょうしゃまでひた」
間に合うんだろうか…。
その先には閉ざすものなく、空が広がっていた。
「気合いで当てるから大丈夫っ!」
ぼりぼりと頭を掻きながら、テゴメの意味を考えてみる。
私は、布団の中で息を殺しながら、窓から見える星の光を見ていた。
「んなこと今さら自覚持てるかいな…」
困ったような視線を、俺に向ける。
「ほらほらっ、往人くん早く〜」
「うちが勝ったんやからな、今日は朝まで付き合ってもらうで」
先ほどより幾分か落ち着いた様子で、俺の名を呼ぶ。
「堤防で会った時」
「大好物のジュースや。これに目あらへんから、飛びついて飲みだしよるわ」
「それでね、ずっとここにいたくなるの」
ぽんぽん…。
「そんな場所があるのか」
「終わったで」
カラスだった。地面に何かを探すように歩いていた。
「うちにはうちの事情があんねん。あんたのタワゴト聞いとる暇ない」
そして、俺は…。
肩に乗っているとあまり顔を見られないから、ぼくはうれしかった。
俺の手に、遠野は頬をすり寄せた。
「じゃあ、おまえはカモメとお友達だな」
歩きなれてしまった道を、ひとりで歩く。
勢い余って、俺は自分で自分の顔面を殴っていた。
「…本当に…私っ……」
いつもと同じ町角があった。
陽に焼かれながら…
自分の叫びが、いやに遠く聞こえた。
少女の瞳が、俺のことを見据える。
「親子でもラブラブって言うのかな…」
「これでいいかな」
男がその場にしゃがみ込む。
「え〜っ、食べてけばいいのにぃ」
歩いていけばよかった。
これが飯の種になり、これが路銀になる。
「笑ってるもん」
麗らかな日差しの中、笑い続ける仲のいい姉妹。
「国崎往人がわるいんじゃない…」
「かもな」
辺りが明るくなった。
「でも、夏は短いよ」
「ううん、握ったよ。ちゃんと両手でぎゅっぎゅって握った」
その隣。
年寄りじみた呟きをもらしてしまう。
『往人さんとクワガタをつかまえた』
勝ち誇ったように俺を見下す。
「ぎぃやあああぁぁぁぁぁぁぁぁーーっっ!!」
壊れて雨ざらしにされた機械が、何かの拍子に動き出した…そんな感じだった。
外国人みたいだ。
彼女が戻ってきた。
「…あ…なるほど」
「にゅぅ〜…つまんないやつぅ」
「で、なんだっけ」
「ずっと、一緒にいてくれる…そう言ってくれた」
三段目にようやく、Tシャツを見つける。
夕陽の赤が色を落とす穏やかな海の上を、彷徨うように飛ぶ鳥がいた。
「あのねぇ、あたしと往人くんってねー…」
やっぱりそうだ。
っていうか、診察室にいきなり入ってきていいのか?
「観鈴ちんも、ぴんち」
「あんたかて、仏壇背負って歩いとる奴見たら、引くやろ?」
夏の夜だった。
「うーんどうしたのかな、そら」
嬉しそうに、札を並べ始める。
「ここは病院の前だ。人がよく通るぞ」
「『大人になるまで絶対に取らないよ』って、にこにこ笑ってくれたよ…」
子供たちは、どこかに走っていった。
気遣ってくれているつもりだろうか。
一気に数を増したセミの声が腹立たしい。
遠い空の上を飛ぶ、、一羽の白い鳥。
計3パックの買い置きがあった。
「だから、ナマケモノさんとふたりで、病院に戻るって」
足下に視線を送る。
…がんがんっ!
取っ手を握った手が震えた。
観鈴はトランプのケースを胸に抱えて、その言葉を繰り返していた。
「今日は休んでろ」
この人が唄う声は、もう聞けないんだ。
「すごく楽しいこと見つけて、独り占めしてたら…」
「おばさん、手伝わんでええか?」
「なら、俺が探してるのは、もうひとりのおまえだ」
「キミとどういう関係の人?」
「よろしく頼むで。二、三日したら帰ってくるからな」
佳乃ではない佳乃を、最初に見た場所。
何でもいい。こいつの興味を別なところへ逸らせてくれ…。
不機嫌にそれだけを言って、扉がぱたりと閉まる。
「ああ、居眠りすんなよ」
だけど、それを言葉に出したりはしなかった。
「綺麗だねー、美凪」
聖が淹れる茶の湯気だけが、妙に浮いた動きをしていた。
ああ。
「いや、これぐらいは大したことないぞ」
「どれだけ苦しくても、この子はうちと一緒にいたい…」
くちばしに力を込めて、開かれたすきまに突っ込む。
飲み干したとたん、佳乃がいきなり叫んだ。
違う。
今夜は、眠れないのではないだろうか…。
佳乃が倒れたと聞いた後。
ひとりで遊んで、
四方を囲む木立を見回しながら、佳乃が言った。
少女が俺の存在に気づいた。
穏やかな凪の中で、夕陽をその身に抱く海を見つめていた。
俺も出立の準備をする。
男も別の場所に向かって姿を消した。
彼女は笑いながら、話をする。
「ほぉ。それは感心だな」
どこをどう歩いたか、覚えていない。
「あまりにもかわいそうだったから、みちるがたすけてあげたんだよ」
俺は、ベンチに腰掛けながら、いつまでも楽しげな二人の姿を見つめ続けた。
「うん?どういう意味だ?」
目の裏側まで焼けてしまいそうな強い陽射しだ。
「…ずっと一緒だったんですか?」
そのまままっすぐに…
はたと俺の手元を見る。
今も暗やみにひそむ、未知の生物。
………
「馬鹿っ、あれは驚かしたというんだ」
頭が痛い。
湖上に浮かぶ蜃気楼のように…。
濡れたTシャツに着替える
「…校門です……」
私は、妹が楽しんでくれるように、がんばって楽しい話を考えた。
「おうっ、おうっ、」
憶測の域でしかないが、それに賭ける以外なかった。
遠くの山際に、太陽が沈もうとしている。
人形を渡す
「でもなんだか見ていて痛々しいよ…」
体はもう、崩れ落ちそうで…でも全身の力を振り絞って…
「おい…」
鍵の先が折れて、鍵穴に残ってしまった。
雨に打たれて、冷えた体。
「じゃじゃーーーんっ!しんぶんし〜〜〜」
違う。それはオフクロ。
枕元に木桶があった。
波の音がした。
声をかけようとした時。
彼女は彼がここを通っていったことに気づいていないようだった。
俺はそれに身を任せることにした。
ふたり、湯気があがるものをすすっている。
どんっ、どんっ。
おそらく、彼女は彼女なりに、俺を元気づけようとしてくれたのだ。
「気を?」
「行くよぉ、ポテト!」
夕食後。
疑問に思ったが、深く追求するのはやめた。
「えらく挑戦的な態度だな」
曖昧な言葉を返す。
佳乃はと見ると、もう階段にかかっていた。
観鈴は以前、夢は時間を遡っていると言った。
ついでに、人形に軽くお辞儀をさせると、遠野もなぜか人形に対して頭をぺこりと垂れた。
大切に思うひとたちといられることが、幸せだったから。
翌日になって、私は再びおばさんとともに病院へ向かった。
「…素直やないんやな」
「大丈夫。うちも素っ裸やで。裸の付き合いや〜」
ぺこりと、もう一度お辞儀をして、遠野は去っていった。
相変わらず客は来ない。
肘を90度に曲げ、拳を握り締めて力コブを作る。
たったそれだけの心遣いが、とても嬉しかった。
「全然だ」
「そう、すっごく腕のいいお医者さんなんだぁ」
そして、走りながらも、俺の裏拳は空気を切り裂き続けた。
目の前に米があるというのに、腹を膨らますことができない。
感心しきりな様子で、うんうんと頷きながら言う。
四人ではなく、三人と一匹だと思うが。
足取りがおぼつかない。
いつまで、くだらない夢を追っているのかと責められた方が…。
欄干から腰を下ろし、地面に立った。
肩から、地面に降ろされる。
「うん、そのまま」
差し出された封筒の表面には、丁寧な毛筆で『進呈』と書かれている。
「朝ご飯作ってる最中だったし」
夜が訪れるまで、それほどの時間は要さなかった。
過去にのみそれがあるというのは、哀しむべきことなのかもしれない。
「これをどう使うかは、あなたの自由」
押し掛けたのは自分の方なのだから、俺が無理する必要はないというのが、彼女の主張だった。
仲の良かった両親が喧嘩をしていることが、何よりも悲しかった。
それを、俺は…
彼女は器を置いた。
「飲めたら、美味しいかもしれないぞ。頑張れっ」
鳴りやまない歓声と、汗の臭いの中、じっと見つめていた。
次は俺の得意種目。
がすっ!がすっ!がすっ!
辺りは、すっかり夜闇の中だった。
「…では参りましょう」
「ほんま、堪忍やで」
「そらおるわなぁ。あの子の家やもんな」
ぽんっ、と小さな胸を叩いて背を反らす。
今日一日のことを、思い返してみる。
「あんたがそばにおったったら、それでええやろ」
「みちるは、一足先にその子の所に戻るから」
……老婆に追い抜かれて……
でも確実にこちらへと近付いてきている。
両脚の間に手首を挟む。
散策というよりは、小休止したいだけという気もしてくるが…。
…ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐ〜りぐり。
地面がやけに柔らかい。
みちるは、ベンチの下で大の字になりながら、膨らんだお腹をぽんぽんと叩いた。
「ほ、本日も実に良いお日柄で」
「余裕だな。おまえ、不良学生だろ」
「ああ。おかげさまでな」
「やった」
いいかげんな合いの手を入れつつ、穏やかに茶をすする。
「…い、今のは…?」
「なるほど、そうだったのかぁ!」
両手で体についた土埃を落としながら、言ってやる。
「わたし、うれしいよ…」
俺はそれを見送った。
俺は観鈴を海に連れていく。
本当に呼びかねないので、素直に謝っておく
早く生まれてきてほしかった。
「んにゅぅ〜…」
「なにもかも、始まったばかりやんか…」
アスファルトが溶けだしてしまいそうなほどたった。
「6さい」
「今のは、往人さん悪いと思う…」
ぼくの前を通りすぎるひとたちも、もう少なくなった。
父と母。そして、私の椅子。
「だから、君に確かめておかなければならない」
「だれがマシーンだ」
男のあとを追いかけて、彼女も出ていってしまった。
「いってらっしゃい」
自分の額を汗が伝わったのを感じた。
いつもと同じ町角があった。
『痛いよ、お姉ちゃん』と。
『…お願い?』
「不用品ないか、不用品」
その分、情もうつってしまった。
決して思い出にはなれないから…
もう…終わってしまったのだろうか。
と言うか、パカッと割れるラムネアイスではなかった。
でも、みちるが姿を消してしまったのは紛れもない事実。
流石にそれは、ありそうになかった。
「まさか…忘れてしもたんか?」
みちるの呟きに、俺は遠野を見た。
そして、予言めいた母親の言葉。
「…綺麗ですね」
「そうだね…」
今なら、彼女が受けた風までも肌に感じることができる。
『美凪』と『みちる』
洗濯物を干し終えた観鈴が戻ってくる。
走ってきた道を戻る。
昔から変わることのない、真夏の青空。
断る理由もなかった。
男が再び引き始める。
「美凪…かえってこないね…」
「医者に連れてく頃にはけろりと治っとる。あんたいつもそれや」
「…なあ。ヒントだけでも教えてや」
「家族って…いないのかなぁ?」
ばっ!
俺は現実に目を向ける。
冗談は通用しないモードになっていた。
「なんやねん」
そう報告しても、聖は何も言わなかった。
代わりに、下のほうからきゃっきゃと嬉しそうな声が聞こえてくる。
男の子はくるりと行き先を変えた。
俺はカップに残ったスープを一気に飲み干すと、隣に置いていた石鹸水入りのコップを持って立ち上がった。
静かだった。
「なんで俺が、ここのモップ掛けをしなきゃならないんだ」
だから、お母さんともちがう。
「回りくどいのは好きじゃない」
女が辺りを見回す。
ひとりきりになって、今、なにを思っているだろうか。
「…なんだ、これは?」
「失礼なことを言うな」
バスが、やって来ていた。
子供の頃、母親から繰り返し聞かされた言葉…。
武田商店の辺りに何か書き足してある。
「あんたな…あんなに揉めて、カラス飼うこと許したったいうのに…」
それが少しづつ、佳乃の重荷になっていたのかもしれない。
その向こうには黄昏色に染まった空がある。
実に異様な光景だった。
「うん。今日はここでいいよ」
ぎらつく太陽を、二人でうんざりと見上げる。
ベンチの傍らで、遠野が食事の準備を始めた。
「なんだよ。どんな反応を期待してたんだ、おまえは」
その笑顔が、あまりに幸せそうだったから。
「…眠たくなったらな」
「だれがマシーンだ」
…とて…
母は、そんな私の頭をいつだって優しく撫でてくれた。
投げ捨てられた。
「これつけたままじゃ、ダメ…かなぁ」
「う、後ろから大声を出すなっ」
すごく硬い。
観鈴の独り立ちか…。
「仲良し、仲良し」
「俺に芸を見せたところで、餌など持ってないぞ」
歩き出す俺の体をあちこち見る。
「もう少し、親友のことを信頼しろよな」
「大きなお世話だ」
夕方になると、アニメが始まった。
後ろに回ると、熱い空気が噴出していた。
結局、この町では一銭も稼ぐことは出来なかったな。
「ちぃーす、佐久間リサイクルショップだぞ」
そして、ぴくぴくと手足を痙攣させて、その動きを止めた。
必死で記憶をたぐり寄せる。
俺の隣に腰掛けて、ストローを差す。
俺ってもしかして素っ裸?
「おかあさん…?」
「そうだな、行っちゃったな」
「なんでついてきてるんだよ」
「観鈴、先に寝や」
「異状があったら、すぐに戻ってくるように」
大きくゆれて、びっくりする。
例えば…
「お母さんにヘンなこと言った?」
頷くが動こうとせず、じっとこちらを見上げている。
その後には、たいていよくないことが起こる。
夏の陽射しとセミたちの声。
遠野の声に、過去の光景を思い浮かべてみる。
「…どうされるのですか?」
「住所をお間違えではないですか」
「はい〜?」
実践してみよう。
しんと静まり返る家。
ふたりの声が重なった。
「危なく食われるところだった…」
扉を開けて、中に入る。
突然、脳裏にみちるの声が響いた。
目線を戻すと、遠くで人形が倒れていた。
俺はその手に力を籠める。観鈴も両手でそれに抗う。
俺を拒むようにすぼまり、なかなか奧に進めない。
二人の心が近づけば、二人とも病んでしまう。
『…海に行きたいって、その子は言ったの』
ぴくん、と遠野の肩が揺れた。
俺も考えてみた。
たまらなく悲しかった。
眩しい…。
「うん、遠いところからおーきに」
ばっさばっさ。
今ではその続きがわかっている。
…からから…
光と戯れるように、七色にその姿を変えながら。
「どうして、観鈴を引き取ってしまったんだよ」
氷を突き立てるような、鋭い詰問。
初めて、両の翼が風をつかんだ。
その顔を見つめる。
「馬鹿。俺がいくつに見える」
寂しげなチャイムの音色が、黄昏に響き渡った。
「いこ」
佳乃だった。
「観鈴も礼を言うんだよ。晴子さんに」
近所の肉屋から、惣菜の匂いが漂ってくる。
覗いてみると、冷蔵庫の扉を開けたまま、観鈴が困っていた。
「お母さん、何か話して」
海に反射した光。ガラスにあたって、さらに跳ね返った。
観鈴の腕をとって、手を握る。
そして、紙皿の上には、俺が炊いたものよりはるかに出来が良い白米。
「わ…どっちもすごく遠い!」
観鈴が派手に転けた。
ぼくも彼女の肩の上から見上げてみた。
「そのときは人でいっぱいになる」
「そら、朝だよー」
「…おそまつさまでした」
すごしなれたはずの時間なのに、決して輝きを失わない時間。
「トランプしてよ…」
「あはは、はやくはやくぅ」
「健康っぽい」
その優しさで、誰もが忘れがちな想いを守り続けてきたのだ。
迂回しよう。
次からは、ものを選んでから頼もう。
顔の前で、ぴっ、と人差し指を立てる。
「心?」
金はなかったけど、太い二本の足ならある。
「…来たぞ」
自分の額を汗が伝わったのを感じた。
ぺこりと、もう一度お辞儀をして、遠野は去っていった。
自分に言い聞かせた。
ざくざくっ…
体を起こそうとして、違和感を覚えた。
負けることなく、ふくらましはじめる。
「お手伝いマシーン1号さんだ」
「それはまたご迷惑をおかけしましたぁ」
「寝てるんだね、このひと」
見つめ合う、瞳。
それこそが、特別なことなんだろう。
今朝から、ずっと引っ張られているような気がする。
夕空に漂うシャボン玉が、脳裏に浮かんでは消える。
「星はね、人の心を綺麗にしてくれるんだよ」
空にいた頃の記憶を、取り戻したかのように。
彼女はそれを追った。
届けてあげたい想いは、力一杯伸ばした指先に、辿り着く先を見つけられるだろうか。
「でも、男の名前の雑誌とか買うたりしとったら、最悪やん…こわっ」
振り返ることもあるけれど…。
さて…今からどうしたものかな。
戻ってきた観鈴に対して、開口一番そう言ってやった。
…かなりかっこわるい。
みちるの走り去っていった方向に恨めしげな視線を向ける。
俺は踵を返しその闇に背を向けると、来た道を戻った。
私は父の喜ぶ顔を見たくて、『良い子だな、美凪は』と頭を撫でてもらいたくて、そうまくしたてた。
二人のために。
「って、人の話を聞けっ」
「あ…そら、だいじょうぶかな」
一度、唇を結ぶ。
よく憶えていないが、なにか無理な理由でもあるんだろうか。
他人に話すのは、かなり恥ずかしい。
「一緒に星も見よな。あそこ小高いから、プラネタリウムみたいに、どこもかしこも星空や」
俺以外には誰ひとり、納得できる者はいないだろう。
「待てっ、こら!」
「ね、食べ比べてみて、どっちがおいしい?」
考えてみれば、俺も恥ずかしくてできない。
「足手まといだ」
「牛乳盗まれたって」
女の子は手をだらりと下ろしたままだった。
「こらーーーっ!国崎往人ーーーっ!」
「国崎 往人、さすらいの人形使いだ」
振り返ると、数人の通行人がくすくすと笑っていた。
防御
初めて聞く、聖の弱音。
後は水加減。
「仕事があっても、祭には来るぞ」
「ついでに戸が壊れてるから、直したってや、田淵さん」
「さっき話した通り。これはきっと、病気じゃないから」
「なるかっ!」
女がやかましい音と共に去っていった。
(どうなんだ…果たして、役に立つのか、立たないのか…)
触れ合う、互いの唇。
遠野家の呼び鈴を鳴らす。
遠野の後ろ姿を見つめながら、こきっと首を捻った。
「俺にはよくわからないんだ」
心配そうな、悲しそうな顔。
何も答えない、聖の肩。
しばらく黙りこむ。
女の子は友達を呼んだ。
「往人さんと一緒にいたい」
防御
黒々とした森の葉陰に、俺の声が吸い込まれていく。
歩きっぱなしには慣れていたから、疲労は精神的なものだ。
「なんや? なんか、取ってきてほしいんか?」
「さっくさっくっ、て女の子の髪切るねん」
だが、屋上まで来たことはなかった。
みちるは、遠野といられることがよほど嬉しいのか、昼間からずっと騒ぎっぱなしだった。
「んにゅぅ〜〜〜、うまくいかない」
近づいてくる。
バスの中を見回して。そして適当な席の前まで移動する。
生きて帰ってこれたのだ。
校門の前で振り返り、誇らしげにピースサインをして見せた。
西日がきつくなってきた。
「そんなに面白いのか、花火って」
ほほえましい光景。
やがて、遠野が人形を抱き上げた。
「これつけたままじゃ、ダメ…かなぁ」
だが、俺は気づいていた。
記憶とちしきが…こぼれてゆく…
ゆっくりと…。
メニューを耳にしただけで腹の虫が蠢き始めた。
何かにくちばしをぶつけたみたいだ。
「往人さんは黙ってて」
うとうとと、たゆたう。
追伸
「ちゃんと使ってくれてたんだ」
突然、思い出したように言てきた。
目の前に、あの武田商店があった。
男が奇妙な格好をする。
頭が…痛む。
「おやすみ…」
それなのに、俺にはわかった。
「そらそうだろ。こういうのは女子供が喜ぶものだ」
遠い空の上を飛ぶ、、一羽の白い鳥。
「往人さんの好き嫌いのせい」
私は、母と二人で家に残り、すっかり変わってしまった日常を送るようになった。
「神社に古くから祀(まつ)られている御神体、ということだが、詳しいところはわからない」
「君は棍棒と手ぬぐいを用意してくれ」
何かが、ある。
俺はポケットから人形を取り出した。
もう、こぼれ落ちる涙をぬぐうこともしない。
「しかし、この子の意志を聞かないと、話が進まないだろ」
目覚めたくない…
老婆が立ち止まって、俺の顔を見ていた。
見つめていた。少女の顔を。
歩けなくなったみすず。
学校の前までやってくると、案の定、観鈴が門の前で待っていた。
国崎往人と、遠野美凪。
嫌な予感がする。
俺は君のことを一生忘れない。
排気ガスを残して、バスは走り去っていった。
俺に習って、遠野はゆったりとした仕草で腰をあげた。
『お釣りは出ません』
観鈴が目を閉じる。
歩きっぱなしには慣れていたから、疲労は精神的なものだ。
「どこかに帰れそうな気がするから」
いつだって笑っていた観鈴。
「昔は、ずっと軽かった…」
それが本当だとして、どうやって止められる?
重量は約20キロ。
「とにかく、道に降りるぞ」
「うんっ。あのねあのね…」
波の音がした。
「それも嫌だ」
聖の視線は、俺の首についた痣に注がれていた。
断じて違う
声が囁いた。
暖かな家、暖かな両親に育まれた幼い日々。
悲しいことよりも、楽しいことを分かち合えないことの方が、はるかに寂しいことだ。
まだ蝉さえ鳴いていない。
歩道に視線を落とす。
「往人さん、ほら」
…三つめ…四つめ…。
見かけに寄らずいい人かも知れない。
「あ…ショックや。今、ごっつ傷ついたわ…」
泣き出して、女に抱きついた。
遠野の瞳に見つめられると、それがとても自然な声のように思えた。
空の闇が濃くなった。
袖が動く気配がする。
ぼくはじっと見ていた。
いつもと同じオチだった。
「聞いてほしいのっ」
彼女がいつも寝ている場所に登る。
佳乃は随分長く考え込んでいた。
「んっ…」
正午をすぎ、俺たちは駅にふたり。
俺も人待ちの振りをしてしまった以上、先に動くわけにはいかなかった。
無意識のうちに…。
すがりつくポテトを振り払い、俺は足を進めていった。
「…いつの間にか…空の広さも…そして大地の温もりさえ忘れてしまいました」
観鈴の好きな、恐竜のぬいぐるみ。
だから、嘘をついた。
外に出る。
俺たちは、木漏れ日がまだら模様をつくる山道を登った。
「どうして、朝食を終えるのに、こんなにも苦労すんだよ…」
…むにゅ。
「くそっ。それなら、何かハサミの代わりになるものを…」
「…その砂を持ってるとね…幸せになれるんだって」
「だって、目にみえないってことは、いないんだよ…」
これで給料をもらうのだ。ふざけて体力を消耗するのも馬鹿馬鹿しい。
俺は、指先を少女に向けて伸ばす。
何日かかろうとも、構わない。
窓の外に視線を向けながら言う。
『頼めばきっと、ひとつぐらいもらえるよ』
聖が小瓶に気づいた。
この町で一番空に近い場所。
彼女は、何を期待していたのだろうか…。
彼女はふしぎなことをはじめた。
「うあぁぁーーーーーーーーーーーん…!」
診療所の前に、黄金色の日溜まりができている。
ぐうの音も出ない…。
くるりと背を向ける。
「わからない」
「こんなん連れてきたら、犯罪やでっ!」
紙の上を鉛筆が走る音だけが響いていた。
それからは大変だった。
視界一面に、夏の夜空がひろがった。
「あんたが佳乃に教えたことだが、出鱈目じゃないだろ」
今度のは少し強めにくらわしておいた。
夏陽炎の中を、手を握りあった幼い姉妹が駆けていく。
彼女の思いが男に伝わったのだろうか。
「こんなわたしでも、仲良くしてくれる」
寄っていく。
…どっちでもいい。
別の子が、泣きそうな声で訊く。
『もしかしたら、お前は…』
少女の意志は固かった。
それでは、何なのだろう?
悩んだ。
「俺は……なんだ?」
「…みちる…」
さて…今からどうしたものかな。
俺には、どうしても、みちるが心の底から喜んでいるようには見えなかった。
「早いな、おまえ…」
扉を閉める音。
「なんだこりゃ?」
「んに?星?」
駅舎に戻ると、見覚えのある人影が二つ。
(結局、こうかよ…)
もう一度、目を閉じる。
「でもねでもね、うまくふくらまないの」
彼女は俺といたときだけでも、それを感じられていたのだろうか。
「ふふ。ありがとう」
「服もよく乾くだろうし」
「うち…あんたのこと大好きや…」
「説明したって、あんたには理解でけへん」
瞳を伏せて、付け加える。
「考えても、もやがかかったみたいになってる」
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた
「なんとなく元気がない」
初めは少し緊張したが、しだいに心が安らいでいくのを実感できた。
二人の姿は、早々に俺の視界から消えていった。
ぱたぱた。
茜色の空に、言葉が解き放たれてゆく。
「ほら、往人と同じ歳ぐらいの子供がいっぱいいるから…」
「そうか。そら残念だな」
「帰ろっか、そら」
ゆっくりとした手つき。
「ああ、そうだな」
ずむっ!
「…散歩や」
犬が俺に向かって鳴く。
走りながら空を見る。
ぺこりと頭を下げる。
久しぶりに長く歩いたせいで、さっきから腹が鳴っている。
「…痛い」
怪しげな表情で挨拶をされる。
限りなくどこまでも続く蒼…
「脅してる暇があったら、保健所を呼ぶなりしてとっとと対処しろ」
「自分が、本当に高い場所にいることがわかって、こわかった」
女がいなかった時間はあまりに長すぎた。
自分のほっぺたを、指でもみほぐす。
同じ色だから、男も暑いだろう。
「だって、昨日も寝てたし、今もおむすび食べてた」
夏の陽射しに焼かれた堤防の上で、二人と一匹が名勝負を繰り広げている。
「ぷはーっ」
この町で、ひとりの少女と出会った。
「あ、なにかな。机の上に置いてある」
「うちと遊ぶか?」
彼女が二本足で立った。
あいつを信じた俺が馬鹿だった。
明るい声に引っ張られて、俺も歩き出す。
四角い空が赤くなるころ。
「ん?どうかしたのか?」
俺は頭を抱える。
「どこに?」
「ね、美凪」
「二人が眠れば、もう一人も眠り、三人で同じ朝に目覚める」
そうしないと、いつまでもこいつは登校しようとしないだろう。
ゆっくりとベンチを、隣を見る。
振り向いた佳乃の笑顔が、眩しい。
「すぐそこまでだ。車が停めてある」
辺りを見回した。
膝の上にトランプを広げたまま、すうすうと寝息を立てていた。
「そりゃあな…」
「ぴこ…」
「あ、カブト虫のメス〜」
こんなの、ぜったいまちがっている。
その自分を、飛ぶ瞬間、思い出そうとしていたのに…
「がんばって、そこまで歩いてみる」
「自分は空にいるの」
「わーい」
「そう思ってくれてるゆうことや…」
昨夜、俺は観鈴の側にいた。
メットを脱いで、俺を振り返る人物…
男が手を貸そうとしても、それを振り払う。
僕もどこにいるかわかった。
何か声をかけなければ。
想像していたより、ずっと立派な感じだった。
床でばらけていたカードを拾い集める。
あった…。
腕に力をこめる。
のどかなホームドラマのような情景だ。
「またお昼ー」
「むずかしいところだな…」
「ポテト」
「あほぅ、そんなんに何度も引っかかるかいな」
指さしたのは、境内の奥に鎮座する古い社だった。
大好きな両親がいる、この家に…。
『大丈夫だ』と言ったつもりだった。
今日は迷いもなく近づいていった。
「一緒に……行きます」
なぜかメスが向けられる。
「今からではいい場所は取れない」
「そらやったら、うち、叱らなあかん」
空気の動きを感じる。
「ひとりになったら、きっとがんばれないよ…」
とにかく精神を集中する、ということなのだろう。
あえて言うなら犬に近い。
「久しぶりの外の空気」
「出血は止まっている。命に別状はないはずだ」
鬱陶しいったらありゃしない…。
俺は、遠野が持つ重い機材を黙って手にする。
1002 :
1001:Over 1000 Thread
よっしゃあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
1000ゲット!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
僕の勝ちだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
馬鹿猫っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
1000 1000 1000 1000 1000 1000!!!
1003 :
1001:
よっしゃあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
1000ゲット!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
僕の勝ちだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
馬鹿猫っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
1000 1000 1000 1000 1000 1000!!!