グッドフェローズ

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196無名画座@リバイバル上映中
 少しでも犯罪者心理を知る者なら、殺伐とした世界に生きる犯罪者が本当に求めるのは
“ロマン”や“男気”ではなく“ユーモア”だと言うことが解るはずだ。
そういう意味ではロマンチシズムに傾きすぎた『ゴッドファーザー』よりも、この
『グッドフェローズ』のユーモアに満ちた淡々とした描写の方がリアルなギャングの姿だと言えるだろう。
 そもそもギャングとは「自分以外を信用しない」連中であり、そんな連中がやれ「兄弟愛」だの
「仁義」だのと言うのは、単に自分が身を置く世界の緊張感に耐えられないから生み出す“虚構”に過ぎない。
彼等はそんな自分たちの不幸を直視しようとはしないし、“幻想”だと解らずに“ギャングの美学”に
陶酔してしまう愚か者さえいる。
 だが結局彼等の大半が行き着くのはこの映画でも描かれるように、かつて自分が軽蔑していた
“普通の生活”よりも悲惨な場所なのだ。
レイ・リオッタ演じる主人公が麻薬に溺れてにっちもさっちも行かなくなる姿はユーモラスで素晴
らしくリアルな犯罪者の実像だ