三匹が斬る!

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469名乗る程の者ではござらん
「さんぴん、その旦那はな、気に入った強い奴にぶち込んでさんざん味わってから、じっくりとなぶり殺すのが大好きなのよ」
「先生に比べりゃあ、俺達のいたぶりなんぞ、生優しいもんだぜ。まあせいぜい、うんとかわいがってもらいな」
捨て台詞を吐いて笑った男達が部屋を出ると、真之介は息を弾ませながら、弱々しい声で浪人に問うた。
「……お小夜は、どうしてる」
「ん?ああ、眠っちまったようだな」
向こうに見える小さな身体は静かに波を打ち、確かに眠ったようだった。
「そ、うか……そんなら、いい」
「お前、どこまでこの娘を気遣うんだ。それどころじゃなかろうに」
心底安堵した様子の真之介に、浪人は呆れた。

40 名前:続続・じゃじゃ馬ならし Part2 5/8[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 08:50:06 ID:Tc7Ighg8O
「俺の読みが浅かったせいで、その子は、捕まっちまった。どうあっても、逃がしてやる」
「俺達を、ぶっ殺してか」
「もちろんだ。よっく覚えてやがれ、この外道がっ」
不敵に微笑む真之介を見て、浪人は実に愉快そうに笑い声を上げた。

「全くたまらんな。楽しい奴だ、お前は。いいさ、楽しみにしておこう……その目の輝きを、俺がずたずたに引き裂いてやる時をな」
耳元に触れる程に唇を寄せ囁くと、浪人は立ち上がり、真之介を置いて出て行った。
取り残された真之介を、急激に猛烈な眠気が襲った。がくりと頭を垂らし目を閉じた脳裏に、兵四郎の笑顔がよぎった。
やがて真之介は娘と同じように、深い眠りに落ちた。