三匹が斬る!

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427名乗る程の者ではござらん
365 名前:続・じゃじゃ馬ならし 前編 2/9[sage] 投稿日:2010/10/04(月) 09:13:32 ID:EPDpbx76O
「手ごめとは、ひどいなあ」
「ひどいたぁなんだ、ひどいのは、殿様だ!どう考えても、手ごめだろうが。俺に、あ、あんなことを……」

のんきな口調の兵四郎に憤った真之介は、段々小声になり、顔を真っ赤に染めた。
あの時兵四郎から受けた辱めを、まざまざと思い出したからだ。

「俺は、手ごめにしたつもりはないぞ。おぬしが蛇を怖がって、身体も冷やしていたから、ほぐして暖めてやりたかったのだ」
「て、てめぇ、ぬけぬけと……!」
「本当だからしかたない。まあ確かに、ちょっとやりすぎてしまったがな」
「ちょっとじゃないだろう、ちょっとじゃ!……もういい!言い争いなど、くだらん。俺は寝るっ」

あくまでものらくらと悪気のない兵四郎に呆れ、真之介はそっぽを向いて再び目を閉じた。
へそを曲げた真之介に、平四郎は苦笑した。
そして、あの夜のことを思い返した。

やんわりねっとりと撫でていじるとたちまち真之介の身体は熱くなり、妙なる嬌声を上げて身悶えた。
そんな彼を、心からかわいらしく思った。
そうするとたがが外れたように止まらなくなり、最後まで情を交わしてしまった。
無理をさせたことはすまなく思ったが、本当に手ごめにしたなどという気はなかった。
恐怖に震えて自分に縋り付く真之介の冷たい肌を、芯から暖めてやりたかったのだ。

真之介もまたあの時の自分の恥態を思い返し、さらに赤くなっていた。

幾ら蛇に怯えすくんでいたとはいえ、まともに抗うこともせず、友だと思っていた男に抱かれた。
色恋は不得手な上に、金が無いから滅多に女も買えない真之介には、久々の睦み合いだった。