三匹が斬る!

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408名乗る程の者ではござらん
256 名前:じゃじゃ馬ならし 前編 2/9[sage] 投稿日:2010/09/28(火) 00:05:13 ID:mnp7oewbO
「ところでおぬし、なんか食い物はないか」
「うん。茶屋で買った、豆餅の残りならあるぞ」
「なに!豆餅だと」
「少し、固くなっているかもしれんが……」
「構わん、寄越せ!」
真之介は跳び起き、兵四郎が懐から取り出した包みを引ったくって開け、豆餅に豪快にかぶりついた。
途端に喉に詰まらせてむせ返り、拳で胸をどんどんと叩いた。
兵四郎は笑いながら、竹筒に入った水を差し出した。

「そう慌てずとも、誰も取りはせん。ゆっくり食え、仙石」
「うぐ、す、すまん、こふっ」
咳込みながら水をあおり、なんとか餅を飲み下し一息をついた。
すると真之介はにわかに、手から竹筒をことりと取り落とした。

「どうした?仙石」
「……うわあああぁっ!!」
訝しんだ兵四郎が声をかけると、真之介はぎょっとするような大きな悲鳴を上げた。
「なんだ!どうしたんだ」
「と、取れ!そいつを、取ってくれっ!わああっ」
「取るって、何を……むっ」
ひたすらに怯えた声を上げる真之介の向こうを見やると、そこには鎌首をもたげた小さな蛇が、赤い舌をちろちろとうごめかし、こちらを睨みつけていた。

「なぁんだ、蛇くらいでだらしない。しっかりせんか」
「だ、だめなんだ、そいつだけは、そいつ……うわあっ、こ、こっち、見んなぁ!」
「お、おいおい!仙石っ」

蛇と目が合った真之介が身体を翻し、兵四郎の首にかじり着いてきた。
兵四郎は驚いて離れようとしたが、真之介の腕はがっしりと巻き付き一向に外れない。