>>268 見所としてはまずはオープニングでしょうか。
黄色=牟礼、青=桜井、赤=権田の、信号機カラーの強烈な
ライトから「カラーになったんだぜ!」という
当時のスタッフ達の喜びとコーフンが伝わって来るようです。
(前作の用心棒はモノクロだったので)
クライマックス場面で3人の間で毎度交わされる
牟礼「”事、非常火急に及ぶ場合は己の判断によって処理すべし”だったな。間違いないな?」
桜井「間違いない!」→大乱闘スタート
とかの会話シーンがカッコ良かったですね。
(この決めゼリフの会話シーンは中盤で消えてしまいますが)
「天を斬る」は牟礼・桜井・権田トリオがメインなのですが、
3人にくっついて来る万五郎(小田部通麿)・大沢(香月涼二)・百太郎(西田良)の
いわゆる「裏のトリオ」のやり取りも一服の清涼剤とでもいうんでしょうか、
コミカルで面白いです。
もう何年も見てないので話の細部は忘れてしまいましたが、
第1話のラストの牟礼重蔵のニヒルなセリフや、第7話「金色の湖」のラストで
見せる牟礼重蔵の珍しい悲しみの表情、第11話「伜は武士」、第20話「雪割人形」、
第23話「石に咲く花」などが印象に残っています。いずれもバッドエンドの話ですが。
京都チャンネルのインタビューによると松尾正武監督は
「石に咲く花」が一番のお気に入りだそうです。
第9話「しぐれの町」は、「俺は用心棒(1)」第16話「志士の写本」に
よく似た、不幸な姉弟の話です。
あと、この作品も「新選組血風録」「燃えよ剣」でよく見る
俳優たちが出てきます。
ゲストの見所としては、第5話「祝いの夜」では舟橋元が登場、
左右田一平に柔術の技で路上に豪快にぶん投げられて、
「世間体と対面をどうするか、そうやって考えてなさい」
と説教を喰らうショッキングなシーンがありました。
第19話「幽鬼」では、血風録版・榎本武揚と
燃えよ剣版・榎本武揚による「新旧・榎本対決」場面があります。
第16話「氷雨の宿」では中野誠也が登場、藩の追っ手に追われる
脱藩侍を演じています。その奥さん役に血風録の近藤勇の妻役の
岩本多代。血風録の辻占売り少女・岩村百合子や木枯し紋次郎に
なる前の中村敦夫も同じくこの回に出ています。
第12話「暁にそまるころ」には血風録の沖田のお光姉さん(市川和子)が
高慢ちきな娘役で出演。第24話「使命は間者」に出ている黒部進は
あっさり殺されすぎ、という感じです。
他に血風録の山南(早川研吉)や永倉(有川正治)、藤堂(国一太郎)、
玉生司郎(血風録の島田魁・燃えよ剣の斎藤)、血風録の誠の旗を作った
染物屋の女将(伊吹友木子)なども悪役で出ています。
以上、なんだかまとまりのない話になってしまいましたが、
最後に各回の主なゲストを書いておきます。
「天を斬る」主なゲスト出演者
#1 桜町弘子、藤尾純、島田多江、波多野博
#2 桂麻紀、蔵一彦、永井秀明、北原将光
#3 原良子、富川徹夫、森山周一郎、森下鉄朗
#4 夏目俊二、大丸二郎、松木聖、水上竜子
#5 高森和子、舟橋元、林浩久、国一太郎、中田浩二
#6 佐々木功、鷲尾真知子、柳生博、永井柳太郎
#7 柴田光彦、早川研吉、御影京子
#8 野口ふみえ、三原有美子、玉生司郎、有川正治
#9 森光子、小川真司、穂高稔、伊吹友木子
#10 幸田宗丸、石橋蓮司、嶋田景一郎、志乃原良子
#11 月形龍之介、住吉正博、新井麻夕美、平沢彰
#12 市川和子、山根久幸、森山周一郎、芦田鉄雄
#13 河村有紀、金井大、永野達雄
#14 近藤正臣、佐藤蛾次郎、国一太郎
#15 亀井光代、前田吟、玉生司郎、波多野博
#16 中野誠也、岩本多代、中村敦夫、岩村百合子
#17 加藤恒喜、蔵一彦、小谷悦子、見明凡太郎
#18 小川真司、鷲尾真知子、宗近晴見、福山象三
#19 成瀬昌彦、横森久、金井由美、国睦子
#20 柴田光彦、新井麻夕美、和田一壮、松本朝夫
#21 菊容子、春日章良、西山嘉孝、高村俊郎
#22 石橋蓮司、松木路子、福本清三
#23 赤座美代子、長谷川哲夫、田口計、岩田直二
#24 北林早苗、亀石征一郎、黒部進、玉生司郎
#25 加賀ちか子、高角宏暁、大塚周夫
#26 片山明彦、田村奈巳、大丸二郎、穂高稔、波多野博
もう一つ思い出しました。西田良演じる無宿者の百太郎は、
常に亀の子供を懐に入れて可愛がり(酒も飲ませてあげたりします)、
いつの日かその亀の子が自分を竜宮城に連れていってくれるものと
本気で信じている純真ないい奴なんですが、第7話「金色の湖」では
海辺でその事を得意げに子供達に話したところ、「アホやなおっさん、
しっかりせんかい」などとボロクソに言われ放題で笑いました。
西田良が伸び伸びと演じています。
たしか、京都チャンネルの「新選組プロジェクト」のプロデューサーも
百太郎が好きだとVAPから出ている「燃えよ剣ミュージックファイル」
の解説の中で書いていましたね。
279 :
名乗る程の者ではござらん:2007/07/05(木) 22:14:21 ID:UxcdfeWN
268です。たくさん教えて頂き、有難うございました。
よく「黄金トリオ」と「裏トリオ」と書いてあります。
結束脚本栗塚時代劇全般にわたって、栗塚さん・島田さん・左右田さんを
「黄金トリオ」と呼ぶのはよくわかるのですが、
「裏トリオ」の意味が今一つわからなかったのが、よくわかりました。
ゲストも多彩で、わくわくします。
時代劇専門チャンネルガイド7月号を見ると、『天を斬る』について、
栗塚さんは、「体制側の隠密役となり、若干とまどいながら演じました。」
と述べておられます。私は、この言葉に、結束作品を演じてこられた
栗塚さんの俳優としての矜持の高さが表れている様に思い、嬉しく感じます。
反権力・反体制で、いつも最も弱い庶民の側に立った役を演じてこられた
栗塚さんが、役の上だけでなく、人間としても、強い者の側に立つのではなく、
弱い者の側に立ちたいと考えておられるだろうことが伺えて、嬉しいです。
結束さんは、戦争体験もお持ちで、権力や体制に常に批判的でいらっしゃった
ことは、その作品からはっきり読み取れます。
それが結束脚本栗塚時代劇の魅力でもあります。
しかし、『天を斬る』は、娯楽としての色合いが濃い、
という意味で、他の結束作品とは一線を画しているのかもしれません。
だけどここは肩の力を抜き、その娯楽色を楽しみたいと思います。
ご教示、本当に有難うございました。
特集が本当に楽しみです。
280 :
名乗る程の者ではござらん:2007/07/06(金) 09:09:12 ID:Qwppt3je
「天を斬る」音楽もいいですね。主題歌1番しか聴けないので残念。
BGMは他の作品より少ないです。特に後半は、殆ど「血風録」の音楽ばかりです。
これも見所というか楽しみの1つです。
先回放送は予告編がありませんでしたが、今回は入るらしい。
>>279 >栗塚さんは、「体制側の隠密役となり、若干とまどいながら演じました。」
このあたりの話は、私も「KAWADE夢ムック 新選組 幕末に咲いた滅びの美学
(河出書房・2001)」という本の中の栗塚旭と逢坂剛の対談で知りました。
本当は用心棒をもう少し続けたかったのに、スポンサーから「金銭を
受け取る用心棒」はイメージが良くないとクレームがつき、
じゃあ、体制側の人間を描こうと始めたのが「天を斬る」。
でも、これは今まで自分たちが演じてきた物とは違う、これでいいのだろうかと、
主演3人組で事あるごとに話していて、制作サイドの結束さんや河野監督も
違和感を感じていたんじゃないかという内容でしたね。
「俺は用心棒」の野良犬は正しいことや弱者を守るためには金もいらない
という人間なのに、スポンサーが上っ面のイメージでしか番組をとらえて
いなかったという事にガッカリしますね。
そのスポンサーには、左右田一平に柔術の技で路上に豪快にぶん投げられて
「世間体と体面をどうするか、そうやって考えてなさい」と説教を喰らって
もらいたいような。
282 :
名乗る程の者ではござらん:2007/07/06(金) 17:02:03 ID:VWQpT4Bh
「KAWADE夢ムック」にも載っていましたが、制作サイドも途中から
作風を変えたそうですね。
確かに、「天を斬る」は中盤から「幕府の隠密」という設定が
薄れてきて、いつのまにか、この3人は幕府の手先をやめて、
ただの浪人になったんだな、と思っていました。。左右田一平は
衣裳も髪型もすっかり品田万平になっていましたし。(その後、
最終回でまだ「幕府の隠密」設定が続いていた事が判明しますが)
確かに違和感は感じますが、「天を斬る」は一連の栗塚旭主演・
結束脚本シリーズの中でも一番、娯楽色が強く、軽さという点では
「風」には及ばないにしても、一番、肩の力を抜いて見られる作品
ではないかと思います(それでも単純なハッピーエンドはほとんど
ありませんが)。私はけっこう好きですね。どうぞ、楽しんで下さい。
そうそう、「燃えよ剣」ではカタブツのまじめな勘定方でコミカルな
いい味を出していた香月凉二が、「天を斬る」では、何かというと
「わし、お役差し止め謹慎中の身でして・・・」のフレーズを
やたらに連発するのがおかしかったです。
香月凉二は結束作品のお笑いパートをうまくこなしていましたね。
小田部通麿は男気あふれる大工の棟梁で、性格はほとんど伝蔵です。
さっき検索して知りましたが、この作品のいわゆる「裏の3人」、
ファンの間ではけっこう有名なんですね。
>>268 すみません。
>>275の最後の2行の訂正です。
>第9話「しぐれの町」は、「俺は用心棒(1)」第16話「志士の写本」に
>よく似た、不幸な姉弟の話です。
よく似ているのは第16話「志士の写本」ではなく、第20話「日照り雨」だった
ような・・・。記憶があやふやになってしまったようです。どうも失礼しました。