【この世は人情紙風船】助け人走る その2

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289ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
「解散大始末」
いよいよもってフィナーレである。
最終回における殉職者(=龍)も、シリーズ3作目となる助け人が初である。
仕掛人、仕置人に比較すれば、全体的なトーンは普通の完全懲悪路線の時代劇に近く、
屈折したものが感じられない作ではあるが、殉職者に関しては2人も出していることに
なる。
必殺シリーズではおなじみの大奥ねた。
元締清兵衛からの突然の全員集合指令、仕掛人のBGM等を流用した大奥女中奪還計画、
明らかにに「スパイ大作戦」の影響が見て取れるスリリングな出だしである。
チーム助け人とチーム捕り方の「雄呂血」を想起させる大バトルの面白さは、
通常の時代劇をも志向した助け人ならではのものがあり、
文十郎役の田村高廣氏が見事な殺陣を披露し、宮口淳氏もV3らしい肉弾戦を見せる
のは勿論、元武家というキャラが最後の最後になって活かされ平内役の中谷一郎氏の
殺陣まで見ることが出来る。
何かと存在感が薄かった龍に死花を咲かせるかのような頭領の船の手配ミスにも
笑えるものがある。
なお、後に仕事人等の後期シリーズにも登場する葛西船での大奥潜入ネタ(失敗に終わる)は必殺シリーズではこの話が元祖である。
後半は重厚な仕置人のBGMが多用され、ラストのナレーションは再び仕掛人のBGMで
締めるという心憎い演出が施されており、
後番組が後のワンパターン化へ陥る主水シリーズの先駆けを成したとも見える
仕留人であったことを思うと、必殺シリーズは第3弾助け人をもって早々に終了
すべきであったという識者の意見にも一理あるやに思われる。
中村主水やテレビ版音羽屋の死に場所も、本当は「助け人」という場にこそあったやにも
思われるのだ。